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あてどない植物記  作者: 蘭鍾馗


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【No.63】秋の七草+1 その1 キキョウ

 9月になりました。

 まだ暑いですけど、暦の上ではもうとっくに秋。

 じゃあ、秋の花ご紹介していきましょうか、と思ったんですが。


 実は、秋の花ってそんなに多くない。私も自分のデータベースから探そうとして、あれ、意外と少ないなと思ったくらい。


 じゃあもう、あれ行こうか。鉄板ネタで。

 秋の七草。


 ◇


 その1はキキョウ。


キキョウ(キキョウ科)

Platycodon grandiflorus

挿絵(By みてみん)


 前にウツボグサの所でも書きましたけど、いつの間にか野生では見かけなくなった花のひとつ。

 もともと人里近くの草地に咲く花でしたが、草刈りや野焼きで維持される半自然の草地が減ったせいで、今では人里近くで見ることはまれになりました。

 今、野生のキキョウを見ることができるのは、何等かの理由で今も草刈りや山焼きが続けられている場所。福島県の御霊櫃峠等、手つかずの自然のままの状態で生えている場所もありますが、そういう場所はごく少ないと思われます。

 上の写真は、広島県の深入山しんにゅうざんという所で撮影したもの。ここは草地を維持するために、毎年山焼きが行われており、全山が高茎草地になっています。標高は1,000mを超えるため涼しく、そのためか、ここのキキョウは大変濃い青紫色に咲きます。


 ちなみに、普通の栽培品のキキョウはこんな感じ。


<栽培品のキキョウ>

挿絵(By みてみん)


 あと、栽培品のキキョウは、何故か6月頃に咲いてしまいます。早咲きに改良されているのでしょうか?「五月雨キキョウ」なんていう品種もありますから、そういう方向で選抜された結果かもしれません。


 ◇


 キキョウの学名grandiflorusは、「大きな花」という意味。


 釣鐘型の花を咲かせるものとしては、ホタルブクロがキキョウに匹敵する大きさの花を咲かせますが、直径ではキキョウが一番大きい。こういう星形の花を咲かせるキキョウ科の種は、他に幾つかあるんですが、大体が径1cmくらいの小さなものばかり。キキョウだけがこんなに大きいんです。

 例えば、西日本のほうにいくとよく見る、こんな雑草があります。


<ヒナギキョウ>

挿絵(By みてみん)


 見ていると、小さなハナアブの類がやってくるようです。

 キキョウは、果たしてどんな昆虫が訪花するのか。

 やっぱり大型のハナバチ類かな。


 

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