【No.57】湿原に群れ咲く タチギボウシ
やや標高の高い山の、湿原や湿った草地に咲きます。山に登る人には割とお馴染みの花かも知れません。タチギボウシです。
タチギボウシ(クサスギカズラ科)
Hosta sieboldii var. rectifolia
分布は本州中部~北海道。湿原や湿った草地に生え、夏に青紫の花を穂状に咲かせます。群生することも多く、夏の山で目立つ花のひとつです。背丈は50~100cm程。花の大きさは4cm位でしょうか。
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ギボウシの仲間はアジアに広く分布しますが、特に日本で多くの種に分化したと言われ、40種程が生育します。基本的な形態はどれも同じで、地面からヘラ形の葉を多数出し、その中から花茎を出して、白~青紫色の花を穂状に咲かせます。
かつてはユリ科に分類されてましたが、新しいAPG分類ではクサスギカズラ科に属します。クサスギカズラ科と言われても余りピンと来ませんが、よく知られた野菜で言うと、アスパラガスがこの科に属します。
だから、と言うわけでもないのですが、このギボウシ属は全種が食べられるそうです。有名なのはオオバギボウシ。その新芽が「ウルイ」という名前で山菜として食べられます。私は食べたことありませんが、ぬめりがあって美味しいそうです。
オオバギボウシ(クサスギカズラ科)
Hosta sieboldiana
また、オオバギボウシは、葉に斑が入った物などが観葉植物として栽培されます。日陰に強く、和風の雰囲気を持つため、日本庭園等に良く植栽されます。日本だけでなく欧米でも人気があり、「ホスタ」と呼ばれて、同好会まであるほどです。
オオバギボウシは、葉が大きくて美しいのですが、花は白に近い淡紫色で地味。日本産のもので花が最も美しいのは、やはりタチギボウシではないでしょうか。
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それにしても、「ギボウシ」って何?
ギボウシは、漢字で「疑宝珠」と書き、古い橋の欄干の頭に付いている金色の玉葱みたいな飾りのことだそう。実は、花茎の伸び始めの頃、花序が包葉に包まれて丸い形をしているので、これを「疑宝珠」に例えたものなんだとか。
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ギボウシ全般の花言葉は「静かな人」「沈静」「落ち着き」などだそうです。タチギボウシだけの花言葉は無いようです。




