【inntermission】晩春の花拾遺 タニウツギ、ヤマツツジ、ハマヒルガオ
何で今頃晩春の花?
はい、そう思いますよね。私としても、このネタは5月にやりたかったんですが、諸般の事情によりスルーしてしまっていたので、ここで三種まとめてご紹介しようかと。
実は、いまPCが使えない状況でして、この文章はスマホでポチポチやっています。要は、「みてみん」に新しい写真をUPするのが難しい状況なんですね。
まあ、言い訳はこのくらいにしときましょ。
まずはこの花、タニウツギから。
タニウツギ(スイカズラ科)
weigela hortensis
東北地方の日本海側、北陸、山陰地方の谷沿いの斜面などに生えます。群生することが多く、花時には山の斜面がピンク色に染まって大変きれいなんですが、実はこの花が咲く場所は崩れやすい斜面や雪崩が多発する場所。崩壊などで裸地になった場所や、雪崩で大きな木が生えられない場所等に入り込んで成長する、いわゆる「先駆樹種」です。
なので、この花が数多く咲く谷は、崩壊や雪崩の危険がある可能性が高いのです。
綺麗な花の咲く谷は、要注意です。
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次は、ヤマツツジ。
ヤマツツジ(ツツジ科)
Rhododendron kaempferi
里山の林縁部などに良く生えています。普段は目立ちませんが、花時には新緑の中で明るい朱色の花が映えて大変綺麗です。
花色には若干の変異があり、花色の濃いものや薄いものが見られます。
実は、ヤマツツジは、「半落葉性」という少し変わった性質を持っています。
ヤマツツジの葉は、年二回、春と夏に出ます。春に出る葉は大きく、葉先が尖っています。この葉は秋に落葉します。一方、夏に出る葉は小さく、葉先が丸い。この夏葉は、秋に一部が落葉しますが、一部は枝についたまま越冬します。
どうしてこんな葉の出方をするのかはわかりませんが、もしかしたら、今、北へ進出している途上で、寒い気候に適応するため、落葉する性質を獲得している最中なのかも知れません。
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最後はハマヒルガオです。
ハマヒルガオ(ヒルガオ科)
calystegia soldanella
砂浜に咲くヒルガオの仲間。ヒルガオよりも花色が濃く、花の白い筋がよりはっきりしています。葉は丸い形で厚く、光沢があります。
なんとなく夏の花のようなイメージがありますが、実は開花期は5月。まあ、あんまり暑いと虫も飛びませんから、晩春の気候のいいうちに咲かせておこう、といった判断なんでしょうかね。実は、ハマヒルガオだけでなく、海浜植物で5月頃に花を咲かせる種は、意外と多いのです。
茎はツル状で砂の上を這います。普通物に巻き付いて登ったりすることはありませんが、私は一度、ヨシの中に生えているハマヒルガオが、ヨシの茎に巻き付いて登っているのを見たことがあります。ツル植物としての性質を完全には失っていないようです。
昔、千葉県の長生村の海岸に群生地がありましたが、東日本大震災の津波で流されてしまったようです。今、どうなってるかな。
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以上、後れ馳せながらの、晩春の花の話でした。




