【No.46】蛍二題 ホタルカズラ、ホタルブクロ
まだちょっと早いですが、もう少し季節が進むと、ホタルが飛び始めます。
たまに、仕事でホタル調査に駆り出されることがあります。
ホタルの調査は夜。辺りが暗くなって来た頃から始めます。調査するのは成虫の出現数。ゲンジボタルは緑色に発光しながら波打つように飛ぶので、「J 」の字の形に光ります。これを数えるのです。
光があるとホタルが飛ばないので、懐中電灯に赤いセロファンを被せ、昆虫には見えない赤い光で足元を照らしながら、生息地の小川の周辺を観察します。まあ、調査の時は腕章などしているのでいいのですが、プライベートで見に行く時は注意が必要でしょう。
夜、明かりもつけずに川っぷちに立って辺りを眺めている。しかも持っている懐中電灯の光が赤い。
傍から見ればこれはもうあれです。「不審者」。
なので、ホタルを見に行くのは二人以上で行くのがいいんじゃないかなと。
はい、余計なお世話ですね。
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また前置きが長くなりました。ここから本題です。
ホタルの季節の前後に咲く花で、名前にも「ホタル」が付く花があります。ホタルカズラとホタルブクロ。
ホタルカズラ(ムラサキ科)
Lithospermum zollingeri
まずはホタルカズラ。花が咲くのは5月頃。ホタルよりひと月程早い。花は直径3cm位でしょうか。5mm以下の小さな花が多いムラサキ科の中ではかなり大きな花。色は、赤味のほとんど混じらない鮮やかな青紫。野の花とは思えない美しさがあります。
背丈は15~20cmくらい。「カズラ」と名が付きますが、他の木に巻き付いたりするわけではなく、地面を這うように長い茎が伸びて、その先端から芽を出して増えてゆくのでこの名があります。葉や茎には、短いけれども堅そうな毛があります。
それにしても、なんで「ホタル」の名が付いたんでしょう?
ゲンジボタルやヘイケボタルの発光は緑色。ホタルカズラの花色は青紫。でもホタルカズラの花色は鮮やかで、まるで蛍光色のよう。
あ、出ましたね「蛍」の字。これが理由かどうかは知りませんが、山で見つけるとホタルを連想させる位の鮮やかな色であることは確か。なので、とりあえずこれが理由ってことにしときますか。
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次のは、もうちょっとましな名の由来が。
ホタルブクロ(キキョウ科)
Campanula punctata
ホタルブクロです。こっちはほぼホタルが出る時期に咲くかな。
キキョウ科はこういう釣鐘型の花を咲かせる種が多いんですが、その中でも最大級の大きさの花を咲かせるのがこれ。淡紅紫色の花は、長さ数cmくらいになります。草丈は50cmくらいになるでしょうか。大きいのですが、全体的な雰囲気は控えめ。とても和風な花です。
学名のpunctataは「斑点のある」という意味で、花に小さな紫色の斑点があることから。
この花、昔は子供がホタルを捕まえて、この花の中に入れて遊んだことが名の由来とされています。
でも、長さ数cmの花の中に、2cm位のゲンジボタルを入れて、逃げないように花の口をつまんで閉じると………ちょっと小さくないかな。
まあ、こんな遊びをしている所を見たこともないし、聞いたこともありませんから、真偽の程は分かりませんが、なかなか優雅なネーミングだとは思いますね。
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春はもうそろそろ終わり。
夏になると、どういう訳か、山は白い花ばかりになってしまいます。
色のついた花は、このホタルカズラ、ホタルブクロあたりが最後でしょうか。
あ、まだアジサイの仲間があったか。
それはまた次にでも。




