【No.42】キンポウゲ科最大の花 カザグルマ
カザグルマ(キンポウゲ科) Clematis patens
カザグルマです。
まさかこれが野生種?と思うような大きな花。直径15cm程にもなります。「日本最大の野草の花」なんて書いてるサイトもありますが、残念ながらヤマユリの方が少し大きい。でも、キンポウゲ科では文句なしに最大。花期は5~6月。やや湿った樹林の林縁部などに生育します。蛇紋岩という強塩基性の岩がある所に生える、とも聞きますが、これについては現地で確認したことはまだありません。そのうち機会があれば検証してみたいです。
学名はクレマチス パテンス。園芸好きの方はこの名前だけでピンとくるでしょう。いわゆる「パテンス系クレマチス」の元になった原種がこれです。花は見ての通り、園芸種と何ら遜色ないと思える程の美しさ。花色は白または白に近い薄紫のものが多いようですが、変異の幅は大きく、かなり濃い紫のものや、ピンクに近い花色のものもあります。
生育環境である林縁は開発などで消失しやすいため、近年個体数が減少しており、環境省のレッドリストで準絶滅危惧(NT)となっています。
下の写真は、十数年前に長野県某所で見つけたもの。花色が濃いので栽培種のクレマチスの逸出株かと思ったのですが、クレマチスの専門家にこの写真を見せたところ、「おそらくカザグルマである」という返事を頂きました。ちょっと驚きでした。
<濃紫色のカザグルマ>
カザグルマと同じクレマチス属は、日本には8種ほどが生育しています。その中には身近な場所に生える種もあります。最も身近なのはこのセンニンソウでしょう。秋に白い4弁の小花を沢山咲かせます。雑木林の林縁やススキ草地なんかで良く見かけます。香りがあります。
センニンソウ(キンポウゲ科) Clematis terniflora
葉はカザグルマによく似ているのですが、やや厚手で、カザグルマのように葉脈がへこまない等、見慣れるとわずかながら違いがあることがわかります。まあでも、道端でみかけるものはまず間違いなくこれ。
茨城県の筑波実験植物園には、このカザグルマのコレクションがあり、5月頃行くと、色々な産地のカザグルマの花を見ることができます。
園芸種のクレマチスと遜色ない美しさで、きっと驚きますよ。




