【No.30】呼んだ? レンリソウ
レンリソウ(マメ科) Lathyrus quinquenervius
「ああ、これは呼ばれたかな。」
某遊水地で調査していた時のこと。道の両脇にヨシやオギの生えた湿地があって、そこを通りかかる時、何故か左手にある叢が気になった。そこは湿ったヨシ原の中にあって、そこだけオギが茂る少し乾いた草地。道から見る限り、特に変わったものは生えていない。でも、何だか知らないけれども、どうしても気になった。
そこで、道から外れて、そのオギの叢の中に入ってみた。そして10mくらい歩いた時、背の高いオギが途切れて、チガヤが混じった、周りよりも少しだけ背の低い草地を見つけた。よく見ると、その草地には、何か紫色の花が沢山咲いている。何だこれは?
で、近寄ってみると、このレンリソウだったんです。
こんなふうに、調査中に、特に理由もないのにどうしても気になる場所があって、行ってみたら思いがけず貴重な種を見つけてしまった、なんて言うことが時々あります。私はこれを「呼ばれる」と称しているのですが。これ、結構偶然とは思えないくらいの頻度で起こります。
レンリソウ、やや湿った草地に生えるツル草です。花は100円玉くらい。マメ科の野草としては結構大きいほうです。写真の通り、大変美しい紫色の花で、不思議な品の良さがあります。開花期は5月頃。
実はこの花、スイートピーと同じ仲間。小さいけれども、葉や茎の形はスイートピーと良く似ています。
レンリソウは、漢字で書くと「連理草」。「連理」とは、隣り合った木の枝が、互いにくっついて1本になってしまったもののことで、これを「男女の深い契り」に例えたものだそう。で、レンリソウと何の関係があるのかと言うと、細長い小葉が向かい合ってV字形につくところを「連理の枝」に例えたんだとか。
正直、ピンと来ません。考えすぎ系のネーミングではないかと個人的には思います。
花言葉は、「優しい思い出」、「ほのかな喜び」だそうです。
レンリソウの仲間は、日本にあと3種程あります。下の写真のハマエンドウもそのひとつ。
葉っぱはエンドウ豆みたいですが、花はやはり美しい。青みを帯びた紫の花が咲きます。生える場所は海岸の砂浜の陸側の端あたり。
〈ハマエンドウ〉
因みに、豆はどちらも有毒です。
まあ、食べる人はいないと思いますけど。




