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あてどない植物記  作者: 蘭鍾馗


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【No.25】スプリングエフェメラル④ 森林性アネモネ(2) キクザキイチゲ、アズマイチゲ、ヒメイチゲ

 今回は3種まとめて。名前つながりで「イチゲ」がつく種。

 「イチゲ」は「一華」。じゃあイチリンソウと一緒じゃん。


キクザキイチゲ(キンポウゲ科) Anemone pseudoaltaica

挿絵(By みてみん)


 実際、キクザキイチゲの別名が「キクザキイチリンソウ」だったりするんですが。

 イチリンソウとの一番の違いは、花びら(実は萼なんですけどね)の枚数。イチリンソウは5枚ですがキクザサキイチゲは……たくさん。特に枚数決まってないようです。なので、菊の花みたいな感じ。

 もうひとつの違いは、花色が多様なこと。上の写真は白に近い薄い水色ですが、青紫から純白まで、花色のバラエティが豊富です。これ、キンポウゲ科には割とよくあることです。分布は近畿以北。花色については、多雪地のほうが色の変化が多いような気がします。


挿絵(By みてみん)

 

 あと、こんなのもあります。下の写真は変種のコキクザキイチゲ。早口言葉みたいですが。箱根周辺に生えるとされますが、写真は丹沢のもの。比較対象がないのでわかりにくいですが、花も葉もキクザキイチゲより二回りくらい小さい。

<変種コキクザキイチゲ>

挿絵(By みてみん)



アズマイチゲ(キンポウゲ科) Anemone raddeana

挿絵(By みてみん)


 これに対して、アズマイチゲは白一色。青花は見たことありません。

 フクジュソウやセツブンソウと同じく石灰岩地に良く生えますが、これら2種よりは多くみかけます。よく見ると、花の中心の雄蕊の根元あたりに青紫色があるのが特徴。あと、葉がキクザキイチゲほど切れ込まないので、丸い感じの葉になります。

 地味ですが、なかなかいい花です。


ヒメイチゲ(キンポウゲ科) Anemone debilis

挿絵(By みてみん)


 イチゲと名のつく花では最も小さい。セツブンソウよりは大きいかな、くらい。

 萼は5枚です。地味ですけど、この小ささがいい。


 イチリンソウやニリンソウと違うのは、これら3種、1本の茎に必ずひとつの花しかつかないこと。1本に複数の花がついているのは、私はまだ見たことないですね。

 






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