【No.24】スプリングエフェメラル③ 森林性アネモネ(1)イチリンソウとニリンソウ
イチリンソウ(キンポウゲ科) Anemone nikoensis
ニリンソウ(キンポウゲ科) Anemone flaccida
イチリンソウとニリンソウです。
分類学的にはアネモネ属の一種。あの春の花壇で良く見かけるアネモネは、Anemone coronariaと言う種で、ヨーロッパの地中海沿岸が原産です。このあたりは夏に乾燥し、冬に雨が多いので、秋に芽を出し、冬の間生長して春に花を咲かせ、夏前に葉が枯れます。
スプリングエフェメラルと育ち方がちょっと似ていますが、秋~冬に葉が出ているのが大きな違い。あと、こちらは森林性ではなく草地性です。
日本のアネモネ属は12種類くらい。高山性のものを除けば、ほぼ全て森林性のスプリングエフェメラルです。
一番身近なのは、多分ニリンソウでしょう。春、山に行くと、湿った谷や小さな流れの脇なんかに群生して、2~3cmくらいの白い小さな花を沢山咲かせているのが見られます。
名前のとおり、1本の茎にだいたい2~3個ずつ花を咲かせますが、同時に咲いていることは少なく、ひとつづつ順番に咲くようです。1本1本は地味ですが、群開すると見事です。
ニリンソウ、キンポウゲ科としては珍しく、山菜として食べられますが、同じくらいの時期に、新芽の様子が良く似たトリカブトも芽がでているので注意が必要です。花が咲く時期でもまだ食べられるので、一番安全なのは、花が咲いているものを採ることだそうです。
続いてイチリンソウ。こちらは花がだいぶ大きく、直径4~5cmくらいはあります。その代わりニリンソウほど大きな群落にはなりません。自生地もニリンソウよりはだいぶ少なく、山でみかける機会は少ない花です。葉はニリンソウよりも細かく切れ込み、繊細な感じです。
花は1本にひとつづつ、ですね、だいたい。ニリンソウと同じで、もちろん例外もあります。
花が大きいので、「アネモネ」って感じがありますね。
念のため書いておくと、イチリンソウの方は有毒です。
スプリングエフェメラルですから、どちらも落葉樹林の林床に生えるのですが、イチリンソウについては、一度だけヨシ原の中で見たことがあります。このヨシ原は、ヨシ刈りをされる場所だったので、春、イチリンソウの芽が出るころには明るく、5月頃にはヨシが育って日陰になるので、ちょうどヨシが落葉樹の代わりをしているような恰好になるのでしょう。




