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あてどない植物記  作者: 蘭鍾馗


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【No.14】日本三大薬草③ 3色あります ゲンノショウコ

ゲンノショウコ(フウロソウ科) Geranium thunbergii

挿絵(By みてみん)


 日本三大薬草、最後はゲンノショウコ。


 田畑のあぜ道など、草刈りされる背の低い草地によく見られます。ドクダミと並んで身近な薬草です。

 花は紅紫色、または白色の2色があります。同じ種の中に違う花色が混在するのはニワゼキショウと同じなのですが、ゲンノショウコの場合は地域による棲み分けがあります。

 西日本は紅紫色が多く、一方東日本は白花が多い。分布の境目は富士川あたり。ちょうど「フォッサマグナ」と言われる、日本列島を南北に走る低地の帯があるあたりになります。これより西では紅紫色、東では白色が多くなります。境目あたりでは、両方の花色が混在している所も良くみかけます。

 私の故郷長崎県では、紅紫色のやつしか見たことありませんでした。


 遺伝的な話については、j-stageとかで論文あたってみましたが、調べがつきませんでした。こんなに有名な薬草なんですから、誰かが花色のことも調べてるかと思ったんですけどね。


 で、薬効です。

 ゲンノショウコは、センブリと同じく胃腸の薬として有名。苦いことも同じ。

 ということは、センブリとキャラ被りではないのか?


 調べてみました。調査屋ですから調べるのは得意ですよ?

 すると、出てきました面白い記述が。

 ゲンノショウコを煮出して薬にするとき、煮る時間によって薬効が変わるというのです。


 水の量が半減するくらいまで長く煮出すと、下痢止めに。

 20分位の短い時間で煮出すと、緩下剤(効き目の緩い下剤)に。つまり便秘に効く。


 ということは、煮出す時間によって、逆の薬効になる。

 これはびっくりです。

 あとは、霜焼け、腫物、口内炎や、高血圧予防にも効くとか。

 即効性があるのも特徴。なので、「現の証拠げんのしょうこ」という名前が付いたと言われます。


 で、また花色の話に戻ります。

 冒頭で、西日本は紅紫色、東日本は白色と書きましたが、調べるうちに「西日本については、日本海側では紅紫色、太平洋側では淡紅色が多い」という話が出てきました。


 そういえば。


 自分の植物写真データベースでゲンノショウコの写真を見てみると、確かに淡紅紫と思われる写真がある。白色と思っていたのですが、わずかに紅が乗っているものがあります。


<ゲンノショウコ3色 左から紅紫色、淡紅紫色、白色>

挿絵(By みてみん)


 3色だったんだ。

 今まで気づきませんでした。







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― 新着の感想 ―
 え、薬効が逆に!? 豆知識、ありがとうございます。  ハーブのうんたらかんたらな蘊蓄でファンタジーっぽい雰囲気出す時ありますが。日本の薬草も、なかなか摩訶不思議なものですね。  しかし、同じ植物で花…
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