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あてどない植物記  作者: 蘭鍾馗


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【No.12】日本三大薬草① 茶色のお茶 ドクダミ

ドクダミ(ドクダミ科) Houttuynia cordata

挿絵(By みてみん)


 ドクダミです。これはご存じの方多いですよね。


 ちょっと湿った所に生えて、ものすごく広がるやつ。で、邪魔だからと刈り取ると独特のにおいが。なので、あんまりいいイメージを持たれていないかも知れません。


 たまに、その名前からこれを毒草だと思っている方がいらっしゃいますが、その逆で、「毒をめる」から来ていると言われます。つまり、解毒。実際、ドクダミは数ある薬草の中でも、飛びぬけて薬効の高い薬草とされています。漢方薬としての名前は「十薬じゅうやく」。効能の多さからその名があります。日本三大薬草のひとつでもあります。


 昔、私の父親がドクダミ茶にはまってしまい、お茶がわりに毎日飲まされていました。ドクダミの葉と茎を乾燥させたものを煎じてお茶にするのですが、色は茶色。そのせいで、小学4年くらいまで、お茶は茶色いものだと思っていました。色の名前も、「お茶の色だから『茶色』」と素直に納得していました(笑)。

 味は、そんなにまずくありません。慣れればお茶替わりに飲むことは可能です。子供のころ、これでお茶漬けなんか食べてましたから。いや、本当に。


 ドクダミの効能は、利尿、殺菌、血圧降下、血管の強化、便秘解消などが知られていますが、実は虫よけにもなります。


 私が夏場の現場に行くと、特に山の中などはヤブ蚊に悩まされます。なので、虫よけスプレーが必需品なのですが、たまに持ってくるのを忘れる時があります。

 そんな時、近くにドクダミが生えていたら、葉をちぎって揉んで、顔や手など露出しているところに塗り付けます。すると、蚊が寄ってこなくなります。ドクダミの汁を塗り付けた手をやヤブ蚊の前に差し出すと、蚊は空中にとどまったままで、手には止まってきません。まあ、それでもある程度刺されますが、被害はだいぶ軽くなります。

 ただ、臭いのあるものを塗り付けるので、女性にはあんまりお勧めできませんが。


 あと、食べられる。三大薬草(ドクダミ、センブリ、ゲンノショウコ)の中で唯一山菜にもなります。独特のにおいは熱を加えると飛んでしまうので、天ぷらなど美味しいそうです。

 私は食べたことありません。お茶はあんなに飲まされたのにね。


 それともう一つ。きれいじゃないですか?

 6月に咲く白い花は、清楚な感じがします。群開すると見事です。葉にも細い赤茶色の縁取りがあって、日本画のような美しさがあります。

挿絵(By みてみん)


 私はなかなかいいと思いますよ?ドクダミ。










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― 新着の感想 ―
読みやすく親しみやすい文章で綴られる実体験のエピソードを含めた植物の詳しい解説と、綺麗な写真つきのこちらの連載、いつも楽しく拝読しております。 ドクダミ良いですよね。最高です。私も自作のドクダミ茶を…
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