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あてどない植物記  作者: 蘭鍾馗


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【No.8】本気出すまで土の中 シュンラン

シュンラン(ラン科)Cymbidium goeringii

挿絵(By みてみん)


 前回「春蘭ちゃん」書いちゃったんで、今回はこれいきましょうか。写真なかったしね。


 蘭は、基本的にねぼすけです。

 いや、私のことではなくて、植物のランの話。


 大体その年の新芽が出てくるのは4月後半~6月くらい。他の草に較べるとちょっと遅い。なので、花が咲くのも大体初夏ごろから。もともと熱帯起源のグループなので、暖かくなってから発芽するものが多いのだと言う説もあります。

 ところが、シュンランは早春の3月頃から咲き始めます。日本産の野生ランの中で、こんな早い時期に花を咲かせるのは、シュンランの他にはヒメフタバランくらい。ちょうど山菜取りの季節に山に入ると、この花を良く見かけます。私の田舎では春にツワブキの新芽を採りに行くのですが、その時丁度咲いているのがこの花。「何だこの花?」と思って子供心に関心を持ったのが、その後、今の仕事につくきっかけになりました(ツワブキの話はまた今度)。


 花は、黄緑色。三枚の萼片と、同じく三枚の花弁のうち二枚が黄緑色。残る一枚は「唇弁しんべん」と呼ばれて、一枚だけ違う形をしています。で、この唇弁が白色に赤紫色の模様が入ります。全体としては、やっぱり地味。でも、ランらしい独特の気品に溢れています。この独特の気品が愛されて、日本では室町時代頃から栽培されていたそうです。

 花は一本の茎に一個ずつ。なので「一茎一花いっけいいっか」とも呼ばれます。

 花には弱い香りがあります。なんというか、春らしい香りです。


 で、「春蘭ちゃんはお弁当をつくれない」で出てきた「リゾーム」について。

 温帯に生育するシンビジューム属のランは、種子から発芽した後、すぐには葉を出さずに、共生菌から栄養をもらいつつ、細長い地下茎のような形で何年も生活します。これを「引きこもり」と表現したわけですが、何年この状態でいるかは決まっておらず、「気が済むまで」「本気出すまで」ということみたいです。

 この間現場で見かけた、本気出してから間もないと思われるシュンランがこれ。リゾームに貯めこんだ栄養を使って葉を出すので、最初から割と大きな姿で出てきます。


<本気出したと思われるシュンラン>

挿絵(By みてみん)


 リゾームの写真はないんですよ残念ながら。









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