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最弱モブの俺がうっかり黒幕を倒したら…  作者: 空野進


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第23話

 先日、オークたちが家を組み立てているときに突然変な紙を持ってきた兵士がやってきた。

 とはいえ、丸太を運んでいるアーカスの側に近づいたものだから振り向きざまに丸太で吹き飛ばされてしまっていた。



「だ、大丈夫か!?」

「我々に手を出したらどうなるか、男爵様に報告するからな。……ぐはっ!?」



 ふらつく足取りでなんとか起き上がった兵士だったが、なぜか吹き飛んできた魔王が衝突し、再び意識を失っていた。



「っとすまん。つい実験に失敗してぶつかってしまった」



 魔王はすぐさま謝っていたが、兵士達は命からがら逃げて行ったのだ。

 いや、突然目の前に魔王が現れたらその反応は普通か。



「いきなり飛んできたらあぶないだろ? 一体何をしてたんだ?」

「いや、ちょっとな……」



 魔王はなにか言いにくそうにしている。

 するとすぐにサヴァンが追いかけてくる。



「魔王様、いくら野菜が嫌いだからって物理的に吹き飛ばした上に逃げないで下さい」



 事情を把握した俺は魔王に対して冷めた視線を送る。



「ま、待て。我は魔王だぞ? そもそも魔王が緑の草を食うのはおかしいだろ?」



 必死に魔王は反論をする。

 確かに魔王がサラダを好んで食べている姿は想像ができない。

 とはいえ、豪華な料理を粛々と食べる姿ならばイメージがつく。

 サヴァンが魔王の料理を準備していたとのことなので、おそらくは後者だろう。



「……何もおかしくないな」

「こ、この、裏切り者ぉぉぉぉぉ。そ、そなたこそ野菜なんて食わないのだろう?」

「えっ? 普通に食うぞ?」

「……へっ!?」

「そもそも、食わなければ畑で育てたりもしないだろ?」

「あ、あれは鑑賞用じゃなかったのか……」



 魔王は頭を抱えていた。



「さぁ、魔王様。リック様もこのように仰ってますからもちろん食べて下さいますよね?」

「嫌だ、我は肉だけを食って生きていくんだ」

「好き嫌いは良くないぞ?」



 俺は苦笑を浮かべながら魔王に言うと彼はそのままサヴァンに引きづられていくのだった。



――まるで子供だな……。



 その姿に苦笑を浮かべる。



――ところでさっきの奴らって何をしに来たんだ?



 逃げ去って行った兵士達のもう見えなくなった姿を呆然と眺める。




◇◇◇◇◇◇




 数日後、俺の前に突然豚の魔物が現れた。

 豪華な馬車を走らせてやってきた、豪華な服装を身に纏った豚。


 とはいえ、黒幕を倒してしまってからはこういった事が連続しすぎてだいぶ慣れてしまった。


 この姿からするとおそらくは魔族。

 おそらくは魔王の手下とかだろう。


 わざわざ俺の所へやってきたのはうっかり場所を間違えただけだろう。



「お前が勇者か?」



 突然豚がとんでもないことを言い出す。

 いや、魔族で情報を共有とかしていてもおかしくはなさそうだ。



「勇者? 一体何のことだ?」

「とぼける出ない! ここに勇者がいることはすでにわかっている」

「もしかしてあいつのことか?」



 俺は丸太を運んでいるラグーンを指差す。

 最初は文句ばかり言っていたラグーンもすっかりアーカスのトレーニングにハマり、だんだんとその体付きが逞しくなっていたところだった。


 上半身裸になる必要はまるでないとは思うが。



「そんな大工が勇者のはずないだろ!? 私を馬鹿にしているのか!?」



 馬鹿にしているも何も本当のことしか言ってないのだけどな。



「それよりも一体何のようだ?」

「ぐぬぬっ、この私を一体誰だと思っているんだ?」

「それはぶ……」



 いや、さすがに豚といったら怒るか?

 豚面の魔物……オークか。

 相手は魔族だといいうことを前提に俺は自信たっぷりにいう。



「それはもちろんオークじゃ無いのか?」



 オークは大きく目を見開いたあと、顔を真っ赤にしていた。



「誰がオークだ!! このブヒートリヒ男爵を馬鹿にするつもりか!?」



 えっと、つまり魔族の男爵ってことか?

 なるほど……。知らなかったこととはいえ、それは失礼なことをした。


 ただのオークじゃ無くてオークジェネラルとかそういったのだったのかもしれない。


 そういえばやけにキラキラとした棍棒も持っていることにいまさらながら気づく。



――このまま襲ってこられても困るな。



「これは申し訳ありません。今すぐに呼んで参りますので少々お待ち下さい」



 恭しく頭を下げるとオークは満足げに頷いていた。



「なんだ、やはり勇者がいるんじゃ無いか。すぐに呼んでこい!」



 どうにも態度がデカいのは気になるが、俺はすぐさま魔王を呼びに行くのだった。

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