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73話:のんびり。

 



 なんだかお疲れモードのジョルダン様を癒やしたいなと、朝にベッドをこっそりと抜け出しました。

 ジョルダン様は人の気配に敏いので、チラリと見られてしましたが。たぶんトイレだと思われたのでしょう。直ぐに目を瞑られました。


 キッチンで卵をかき混ぜながら、パンの焼き加減を見たり、火にかけているベーコンを見張ったりと忙しいはずなのに、ついつい考えてしまいます。


 ジョルダン様は人の気配で起きてしまうので、一人で寝ていた方がいいのではと思うのですが、ジョルダン様は断固拒否されます。

 わりと……というか、かなりわがままを聞いてもらえているのですが、その提案だけは駄目なんですよね。

 まぁ、嬉しいんですけどね。


「奥様、そろそろ出しても?」

「あ、お願いします」


 ベッドの中でギュッと抱きついてくるジョルダン様を思い出していましたら、カリカリベーコンが危うく黒焦げになるところでした。




「いい天気だな」


 王都にほど近い郊外の花畑に来ました。

 今日はジョルダン様にのんびりしていただくため、シルヴァンは乳母たちに預けています。


 ここは穴場的な場所なのか、驚くほどに人が来ないので静かなピクニックに最適だとお義母様に教えていただきました。


「……王族管理の地だからな。まぁ、そうそう人は来ないな」 

「………………お義母さまぁ」

「気にしたら負けだ」


 お義父様経由で許可は取っているんだろうと、ジョルダン様が苦笑いしていました。

 許可を取らないと駄目なやつだったんですね……。

 それにしても、春先の暖かい空気と色とりどりの花に大きな木陰、完璧と言っていいほどのピクニックに最適な場所。教えてくださったお義母様には感謝です。


 穏やかな日差しを浴びながら大きめのブランケットに座り、ジョルダン様に膝枕。

 そっと頭を撫でていると、すぅすぅと寝息が聞こえてきました。

 毎日お疲れ様です、と心の中で伝えつつ撫で撫でを続けました。




 爽やかな風に身を任せながら、うつらうつらとしていると、膝の上でジョルダン様の頭がもぞもぞと動きました。

 パチリと目蓋を押し上げると、幼子のようにふにゃりと笑ったジョルダン様と目が合いました。


「ふふっ」


 気を許してくださっているからこそ見せていただける姿が、シルヴァンと重なりました。

 親子だなぁと思っていましたら、ジョルダン様がゆっくりと起き上がり、右手を私の首の後ろに添えて来られました。


「っ…………ん」


 ゆっくりと重なる唇は、熱くて甘くて、溶けてしまいそうでした。




次話も明日の朝に投稿します。


短編出してますので、そちらもよろしくお願いいたします!!!!

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