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【商業化決定☆】お見合い相手に釣書を送ったら、間違えてノリとネタで書いた方の釣書だった。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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69話:そろそろ帰ってきます。

 



 実家に戻って三週間。

 シルヴァンは両親とキャッキャと遊び、私とミヌエットはそれをのんびりと眺めています。


「ジョルダン様たち、帰国は二日後だったわよね?」

「うん」

「結構長かったわね」

「そうねぇ。お兄様がいなくて寂しかった?」


 脳筋兄ももちろん同行していたので、ニヤリと笑って聞いたら、ミヌエットがちょっと照れていました。

 兄も何やら張り切っていたらしく、たまには仕事に真面目な兄に惚れ直したのだとか。


 ジョルダン様の場合は、色々と話し合うことがあるのだとか、魔王な笑顔で仰っていましたので、なんだか恐ろしくて何も聞けませんでした。


「ジョルダン様もあくどい顔とかするのね」

「するのよぉぉぉぉぉ! めっちゃ怖いのよぉ!」


 いらぬ藪を突付いて何度やらかしたことか……。

 基本は私がツルリポロリと口を滑らせているせいでもありますが。

 ミヌエットが、ペンもつるっつると滑らせてるでしょ? とかなんとか言ってますが、無視です。


「明日のお昼には屋敷に帰って、ジョルダン様のお迎えの準備をするわね」

「もう帰っちゃうのね、シルヴァン」


 お母様がしょんぼりしていますが、なんとなくそっち!?な気分です。

 いえ、寂しがっていただいて嬉しくもあるのですが。


「ソフィ、一つだけ伝えないと、と思っていたのだけど…………」


 お母様が何やら覚悟を決めたようなお顔でこちらをジッと見つめてきます。

 たっぷりと間を置いて言われたのは、もうすぐシルヴァンには魔の時期が来る! でした。


「はい?」

「ハイハイが上手になったでしょ?」

「ええ」


 ハイハイで足腰腕の筋力が鍛えられ、立ち上がり歩き出す。そうすると、思いもよらない高いところに手が届く。

 そこで起きるのは、何でもかんでもとにかく口に入れること。舐め回すこと、何なら飲み込むこと。


「机の上や棚の上から、誤飲誤食しそうなものは撤去しなさい」

「あー……」


 そういえば、お姉様の子供たちが来ていたときに、そりゃもう大変なことになっていましたね。

 あれが我が家で起こる…………ちょっとだけ背筋がゾワッとしました。


「ん、だぁぁ!」


 このタイミングでシルヴァンが笑顔でこちらにハイハイしてきて、ジョルダン様の黒い笑顔が脳内にリフレイン。


「ぅおっそろしいぃぃぃほど似てるうぅぅぅ!」

「あはははははは!」


 お腹を抱えて笑うミヌエットにモヤっとして、彼女の脇腹をこしょこしょしてやりました!

 涙を流しながら謝罪されたので許してあげましょう。




次話も明日の朝に投稿します。

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