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63話:来客。

 



 出産翌日にお義父様とお義母様が来られ、驚くほどに感謝されてしまいました。

 孫は軽く諦めていたとか、そもそも結婚も軽く諦めていたとか、なんだかボロボロと愚痴もこぼされましたが。

 初孫を抱いて微笑み合うお二人はとても仲睦まじく、ジョルダン様と私もこんな夫婦になりたいなぁと思いました。


 ちなみに、両親は私達が落ち着いてから、ということで二週間後に屋敷に来られたのですが、脳筋兄は出産翌日にしれっと対面していました。

 ジョルダン様を呼びに来て、しれっと!

 あれは絶対にわざとだったのだと思っています。

 だって、ジョルダン様が「ん? お前、今日は休みだったろ? は? マイクが急用?」と首を傾げていましたから。




 そんなこんなで、シルヴァンが誕生して一ヶ月。

 見事に寝不足です。

 お姉様が本当に大変よと言われていたのを今更思い出しました。


「目の下のクマが凄いわね」

「ふぁい」


 乳母は雇って頂いたのですが、私もジョルダン様も積極的に育児には参加したい派閥だったので、お乳は自分の、乳母は通いの人で、となったのです。


 その流れをオフェリア様にお伝えしつつ、授乳。

 わざわざ足を運んでいただいたのにこんな姿を見せて本当に申し訳なく思っていたのですが、王族や貴族では授乳姿や子供をあやしている姿など見ることも触れることもほぼないらしく、とても楽しそうにされています。


「赤ちゃんって、こんなにもふわふわだったのね! あぁぁ、可愛いわぁ!」

「どこもかしこも、ふわふわでスベスベですよぉ」


 今まで、レースがビラビラと付いたおくるみでぐるぐる巻きにされ、乳母にぎっちりと抱かれている赤ちゃんを遠目にしか見たことがなかったと言われ、驚愕でした。

 それならば、ぜひ抱っこしてみて! とシルヴァンを押し付けてしまいましたら、抱っこしつつ頰をツンツンプニプニ、手のひらをツンツンプニプニ。とても堪能されていました。


「お乳は飲み終わった!?」


 また抱っこがしたいそうです。

 私はもちろん、部屋の隅に控えている乳母と侍女たちも、オフェリア様の大興奮にクスクスと笑ってしまいました。


「はい、終わりました。しばらく縦に抱っこして、ゲップを待ってあげてくださいね」

「わかったわ!」

 

 オフェリア様がシルヴァンを縦抱きにし、背中をさすってあげていました。

 表情は女神のように柔らかく、きっといつか来る未来のための、良い予行演習になっているのでしょう。


「結婚式、参加できず申し訳ありませんでした」

「いいのよ。この子のほうが大切よ」


 出産の翌週に王太子殿下とオフェリア様の結婚式があり、体調を調えることが出来ずに私は不参加となってしまいました。

 とても素敵な式だったらしく、見てみたかったです。


「ゲボォォォ」

「っ…………あははははは! ちょっと! 凄いの出たわよ!?」


 オフェリア様が、シルヴァンのゲップに大爆笑です。

 気持ちはわかります。赤ちゃんって、どこのオッサンですか? という勢いでゲップをするんですよね。

 

 オフェリア殿下はお祝いにちょっとだけ顔を出しに来たつもりだったのに……と言いつつも「もうちょっと!」と粘りに粘って、夕方ちょっと手前までシルヴァンを抱き続けていました。

 今日の公務はなかったらしく、オフェリア殿下の侍女はちょっと苦笑いはしていたものの、微笑ましく眺めていました。




………………寝てました(汗)


明日は必ずや……朝に。

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