表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/79

59話:真夜中に知る寝相。

 



 夜に激しく動く赤ちゃんが、お腹の中で何をしているのか。そんな疑問を漏らしたら、まさかの寝相問題に。


「ほへぇ!? 私、そんなに悪くない………………はず?」

「…………ははは」


 ジョルダン様が、死んだような目で乾いた笑いをされています。まって、どんな感情ですか!?


「ソフィはね、グルングルン回って、ぐにょんぐにょんと動いて、起きる頃にスッと綺麗な寝相に戻るんだよ」


 死んだような目のまま、口元だけに笑みを乗せて、そう言われました。




 ◆◇◆◇◆




 はじめの頃は、ベッドの中でソフィがもぞもぞと動くのは緊張しているのだと思っていた。


「ウグッ……」


 ソフィが寝返りを打つ瞬間、膝が腹にドシュッと入る。局部でなくてホッとする。

 寝返りの勢いでブンッと飛んでくる腕は、いつもそっと受け流してはいるが、いつ間違えて反撃してしまうか、ハラハラしている。


 ソフィが右にゴロゴロ左にゴロゴロ。起きる直前に定位置に戻り大人しくなる。これは見てて面白い。

 だが、これが毎日、何年も続くのであれば、流石に寝不足になりそうな気がしている。


 マクシム曰く、本人は気付いていないらしい。

 大半は可愛いから放置しておきたいが、問題や事故が起きる前になんとか対策をしておきたいとは思っていた。

 

「あらまぁ! 小さい子のようねぇ」

「そうなんですか?」


 母とソフィの話になったときに、つい漏らしてしまった。そこでまさかの子供と同じという情報。

 子供はよく夢を見ているときに動いていたりするらしい。もちろん人によりけりなのだろうが。


「あとは寝具が合っていないとか、室温が合っていないとかもあるらしいわよ」

「なるほど…………そういえば、ソフィは硬いベッドのほうが寝慣れていると言っていたから、硬めにしていたが……」

「あとは――――」




 結果から言うと、ある程度の弾力があるタイプがソフィが一番大人しかった。

 ソフィには私の寝やすさに合わせてもいいだろうかと聞くと、ぶんぶんと頭を縦に振って謝罪された。「ジョルダン様のお体を一番に優先してください!」そう言われて、この子は本当に良い子だな、と更に惚れ直したのは秘密だが。


 そして、母からのアドバイスも試してみた。

 腕枕だ。

 子供は、それをすると落ち着くのだとか――――。


「――――こんなにも!? こんなにも大人しいのか!」


 青天の霹靂だった。

 あと、腕の中ですやすやと穏やかに眠るソフィは、得も言われぬ愛おしさがある。




 ◇◆◇◆◇




 ――――まさかの!


 寝相もですが、ジョルダン様がベッドのスプリングを入れ替えたり、抱きしめて眠られるようになったのは覚えています。

 あと、その頃からとても眠りが深くなったのと、疲れがよく取れるなぁとは思っていました。


「どんなソフィも可愛らしいんだがな。私が無意識に反撃してしまうのだけは阻止したくてな」


 いやむしろ反撃してください。脳天べチーンと叩いてください。

 ジョルダン様が紳士すぎます。


「フッ……脳天にはキスだけだ。さあ、おやすみ」


 脳天にだけでなく、目蓋、頰、鼻、唇へとキスを下さいました。

 夜中に知った衝撃で眠れないかと思いましたが、ジョルダン様のキスと抱擁が暖かく、結局ぐっすりと眠ってしまいました。

 



次話も明日の朝に投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

↓ ↓ 笛路の別作品 ↓ ↓

新着投稿順

 人気順 

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ