54話:オフェリア殿下と。
私がボッチなことは置いておいて。
兎にも角にも、二人きりのお茶会という特別任務です。
「いや、普通に楽しんでくるといいと思うが」
「え? それだけでいいんですか?」
「ん。素を出して楽しく話せる相手をオフェリア殿下に見つけて欲しいらしい。ソフィならそれが可能なのでは? といった感じだ。だから、ソフィはありのままでいい」
なんだかとても信頼されているようで、とても嬉しかったです。
…………だから、まぁ、こうなるのは、仕方ないですよね?
「あーっはははははは! 妄想の釣書っ!」
「ほんと、乗り気じゃなかったんですよぉ。面倒で面倒で。遊んでないとやってられなくて」
オフェリア殿下が王城の四阿でお腹を抱え、目尻に涙を溜めて爆笑しています。私がジョルダン様に提出した釣書の話で。
「それでお見合いに顔を出すのが、あのカタブツの凄いところよね」
「そうなんですよ! あのときは主に兄のせいな気もしますが……。ジョルダン様って真面目で真面目で!」
上司で遊んでいる男(半分は冤罪)に付き合ってお見合いの席に着いてくれるなんて。普通は絶対に無視します。
「でもそこから結婚まで行けたのは凄いわね」
「えへ……」
「なによ? まだ何かあるの?」
婚姻届を間違えて提出したり、妄想で書いた離婚届と手紙を送り付けたりした話をしました。
オフェリア殿下は、笑いすぎて酸欠状態です。
「はぁはぁ……あの朴念仁が慌てふためく姿の想像がつくわ!」
「えへへ」
「それにしても、ソフィはもうちょっと落ち着いて確認しなさいよ!」
「えへへへ」
それからは、オフェリア殿下と王太子殿下との出逢いの話を聞きました。
「ええぇぇ? ダンスで脛を蹴った!?」
「ええ。だって何か癪だったのよ。会議では偉そうにスカしてて、どんどんと自分に有利に話を進めていくんだもの。そのくせ夜会では何事も無かったように甘ったるい顔して話しかけてきて。ムカつくじゃない?」
ちなみに、こういった場合は護衛が駆けつけてくるらしいのですが、ジョルダン様は普通に壁際に立っていただけだったそうで。
「デメトリオに理由を聞けば、『女性からの攻撃は褒美だろ』って。気持ち悪いじゃない!?」
………………はい、ちょっと気持ち悪かったです。
だからといって、さらに追撃で三回も蹴るのはどうかと思いましたが、そこは口を噤みます。
「とにかく、最悪な出逢いだったわよ」
「でも、好きになられたんですよね?」
「悔しいことにね――――」
オフェリア殿下の口調がかなり崩れてきました。ミヌエットと会話が盛り上がった時みたいになっています。
どうしましょう、惚気&暴露大会になってきてますがとても楽しいです!
次話も明日の朝に投稿します。




