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53話:ボッチにボッチと聞いてはいけない。

 



 ジョルダン様と私の礼を受けて、王太子殿下がケホンと照れたような咳をしてから、頭を上げてくれと言われました。


「まったく。いつものソフィ嬢はどうした? ジョルダンのテンションに合わせるな」

「え? いつものソフィ様って何ですの?」

「ジョルダンに襲われ熱を出すのに、野山を駆けずり回って雨にずぶ濡れになっても寝込まない、面白生物?」


 ――――ちょぉぉぉぉぉ!


 なんで知ってるんですか!

 

「……野生児なの?」

「野生児だな」

「予想外に野生児でした」


 なんですかその共通認識のすり合わせみたいな会話は。しかも、ジョルダン様までも参加しています。


「うふふ。もっとソフィ様と打ち解けて色んなお話を聞きたいですわね。近々お茶会でもしましょう」

「はい、ぜひ!」


 そんな話をしつつ、無事に晩餐会は終わりました。




 晩餐会の翌朝、オフェリア殿下からのお手紙が届いている、と朝食の席で執事から渡されました。

 ジョルダン様ではなく、私宛で。


「ひょえ!?」

「どうした?」

「オフェリア殿下が三日後にお茶会をしましょうと……」


 仲良くなれそうで良かったな、とジョルダン様が微笑まれていますが、問題はそこではないのです。


「二人きりで、と書いてあるんですが!?」


 普通のご令嬢方って複数人でのお茶会が基本です。

 二人きりの場合は、ボッチぎみかとても仲がいいか、なにかの同盟か。


「……同盟?」

「私とミヌエットみたいに、スイーツ同盟だったり……まぁ私達はそもそもが軽くボッチなのですが」

「ソフィは、こんなにもいい子なのに、なんで友人がいないんだ?」


 ジョルダン様がキョトンとしたお顔で槍というか、ハルバードを投げつけてきました。酷い。ボッチにボッチな理由を聞かないでください。

 あと、まさかの『子』扱い。いえ、ジョルダン様からしたら十分に子供なのでしょうが。


「ソ、ソフィ…………すまなかった、ミヌエット嬢という素晴らしい友人がいるものな!?」


 いえ、怒っているのはそこではなく。

 

「ジョルダン様っ!」

「は、はい!」

「貧乏暇なし、なのでございます。そして、デビュタントボールでやらかすと、大概が敬遠されます!」

「は?」


 幼い頃から、兎にも角にも食料確保と家の仕事ばかり。貴族特有の友人関係など築けるわけもなく。

 たまたま行った平民街のカフェでボッチ同士だったからと相席を頼まれ、謎の意気投合をしたミヌエットがやっとこさ出来た友達なのです。

 そもそも、軽く没落すると周りの貴族の目はかなり厳しいもので、『関わるな』が基本なんですよね。


「あー。確かに、そういった偏見はまだまだあるだろうな」


 昔は貴族が没落すると、なにか悪いことをした制裁でだったり、領地経営する能力がないから、などの烙印をおされていました。

 確かに間違いではないのですが、そうとも限らない可能性を完全に無視しているんですよね。まぁ、私が何を言おうが没落気味側なのでさらに無視されるだけでしょうが。

 なので、まぁ、無理に理解をしてもらおうとかはないのです。


「ソフィは本当に芯が強いな」


 なぜかジョルダン様が破顔していました。

 謎です!




次話も明日の朝に投稿します。

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