51話:誓いのキスとの因果。
初めは葉巻とキスのお話だったのですが、どんどんと膨らんでいきました。
なぜか、結婚式での私達の誓いのキスに。
「統計的に、結婚式の誓いのキスがしつこい方は、閨の方もかなりしつこいと」
――――どんな統計なんですか!?
「おほほほ、有名ですわよね。その話」
――――何がどう有名なんですか!?
「王妃殿下、『しつこい』とはどのように?」
おほほほ、と王妃殿下。そして、まさかの話題に食い付くオフェリア殿下。
オフェリア殿下は、なぜかめっちゃ前のめりで目をギラ付かせていています。
「というか、どのようなキスでしたの!?」
いきなりのこちらに方向転換。やめてー、聞かないでー! なんて、叫べたらいいのに。ここにいる方々は遥か上の地位。そして、笑顔でペロッと吐いてしまうお義母様。
「ソフィちゃん、膝から崩れ落ちてたわよねぇ。ジョルダンったら、ニヤッと笑って腰を抱きとめて、さらにキスを続けてたのよね。あれには、我が子ながら引いたわー」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!」
「「きやぁぁ!」」
羞恥心爆発な私の叫びと、黄色い歓声が入り交じり、阿鼻叫喚な瞬間でした。
「結婚式の誓いで、そこまでですか!? 普通は軽く触れ合わせるものでは!?」
オフェリア殿下、まだまだ前のめりです。
「ええ、普通はそうなのよねぇ」
待ってください、なぜに王妃殿下はそんなに遠い目を!?
お義母様がくすくすと笑いながら、王妃殿下も同じような目にあったのだと教えて下さいました。
国を挙げての結婚式での陛下の暴挙(?)のおかげで、激しめな誓いのキスが一部で流行ってしまったのだとか。
「一時的にだけどね。その後は落ち着いていたのよ。だけど、ちょこちょこそういった新郎が現れるから、理由やその後を聞いてみたら…………ね?」
なにがどう『ね?』なんですか。
なぜにみなさんキラキラとした目でこちらを見られるのですか。
「で? どうだったの?」
なにがどう『で?』なんですか。
なぜにそうもキラキラとした目で聞いてくるんですか。王妃殿下じゃなかったら張っ倒しますよ!
「それがねぇ、王太子殿下に阻止されたらしいのよ。でも翌日のお昼までは主寝室でイチャイチャしてたみたいよ!」
なぜそれを知っているのですかお義母様。
執事ですか? 侍女ですか? ジョルダン様ですか!?
そういえば危うく翌日のお昼までも持ち込まれそうだった初夜は、呼び出しによって阻止してもらったんでした。
今思えば、あの感じの呼び出し方は王太子殿下案件な気がします。
地味に感謝です。
「なぁに? あの子、結婚式の翌日にも呼び出したの? ジョルダンのこと大好きすぎないかしら?」
「あはははは。幼い頃からベッタリよねぇ」
お義母様と王妃殿下がキャッキャと笑いながら、ジョルダン様と王太子殿下が幼い頃の話を始めました。
これはかなり貴重な気がします!
次話も明日の朝に投稿します。




