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44話:訪問者は――――。

 



 夜の帝王のお陰で何やら足腰が立たなくなり寝込んでいる間に、私を誘拐した犯人は国に追い返されたそうです。

 ジョルダン様がため息を吐きながら事の顛末を教えてくださいました。


「国交断絶確定かつ、後ろ盾にも厳重注意だろうな」

「まさか、戦争など――――」

「それはないとは思うが。陛下も殿下も『国民が疲弊するだけの悪行』だといつも言われるのでな」


 ただ、相手の出方によっては、ね? と言いながらニコリと微笑まれたので、背筋がゾワリとしました。ヤブヘビです。突付いたら駄目なやつです!


「さ、明日は帰路だ。ゆっくりと休みなさい」

「ふぁい」


 抱きしめられながら眠るのは好きなのですが、夜の帝王濃縮タイプを摂取した翌日なので、ちょっとソワソワしてしまいます。

 できれば、こう……程よく距離を開けて、ピシッと並んで眠りたいのですが。

 手だけ繋いだりとか、ね?


「却下する」


 ――――あんるぇぇぇ?


 ワガママを言っていいと言われたはずなんですが、勢い良く却下されてしまいました。

 そしてどう藻掻いてもジョルダン様の腕の中から抜け出せません。


「そんなに元気なら、少し運動でもするか?」

「をやすみぬぁさいませぇ!」


 力いっぱい就寝の挨拶をしましたら、ジョルダン様が肩を震わせながら笑っていました。

 まぁ、なんというか平和に眠れそうで良かったです。




 帰路は平穏そのものでした。

 屋敷に帰り着き、ふぅ……とひと息吐いていましたら、ジョルダン様に心配されてしまいました。

 

 人生初めての旅行でこんなにもトラブルに見舞われて、嫌になってしまったのではないか? そう聞かれましたが、私は総合的にとても楽しかったと思っています。

 色々なジョルダン様を見ることが出来ましたし。

 

「ん。今度は絶対に二人きりで行こう」

「はい!」


 今回の視察に参加した方々は、明日はお休みだそうです。

 疲れを癒やすためにも、ゆっくりと過ごしたいです。

 ジョルダン様がお仕事に呼び出されない事を祈りました。




 …………呼び出されない事を、祈りましたが。なぜにこうなるのでしょう?


「いやぁ、邪魔してすまないな」

「……ええ本当に」


 たまにはゆっくりしようと、屋敷の庭でジョルダン様とお茶を飲んでいました。

 こぢんまりとした四阿で、ピッタリとくっついて、指なんて絡めつつ。

 そこに執事から「王太子殿下と護衛の方々がお見えです」という報告。そして、颯爽と現れる殿下たち。

 出迎えは不要だとかで勝手に入ってこられたそうです。

 

 ジョルダン様の額に青筋がビキビキです。

 反対に王太子殿下はニコニコ笑顔です。


 ――――ええっと?


 取り敢えず離席したほうが良いかと思ったのですが、ジョルダン様が繋いだ手を離してくださいませんでした。




次話も明日の朝に投稿します。

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