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31話:殿下との約束。

 



 お風呂上がりのジョルダン様は、普段通りの穏やかジョルダン様でした。べべべべつに、ちょっと帝王の降臨に期待したわけではないのですが。


「明日はもう少しゆっくり過ごせると思う」

「はい! 明日も楽しみです!」


 道中見て気になっていたものを話すと、ジョルダン様が教えてくださいました。


「へぇぇぇ! そんな意味があったのですねぇ!」

「……マクシムは何をしていたんだ?」

「雑談するか、騒ぐか、恋バナするか、寝てました!」

「朝イチで殴っておこう」


 そこら辺はお好きにどうぞと言うしかないです。




 翌朝はジョルダン様たちと一緒に食べることができました。王太子殿下も一緒だとは思っておらず、ちょっとだけ食べ物が喉を通りづらかったですが。


「……いつもと変わりない食事量だが?」

「ちょっと通りづらいってだけですっ!」

「まぁ……ソフィだしな」


 二人でそんなやり取りをしながら食べていましたら、王太子殿下から目の前でイチャイチャするなと怒られてしまいました。


「イチャイチャというよりは、食事量へのツッコミです。あと、妬ましく思うなら、早く結婚すればいいでしょう」


 王太子殿下がチィィィっと大きな舌打ちをし、ジョルダン様は半笑い。

 ジョルダン様が王太子殿下に辛辣です。

 ちなみに兄は王太子殿下の斜め後ろで床に座っています。座っているというか、沈んでいるというか?

 朝イチで鳩尾にジョルダン様からの膝蹴りを受けていました。そのせいですかね?


「そもそも、別に大切なことを話し合うわけでもないし、ソフィ嬢も一緒に私の馬車に乗ればいいだろう?」

「嫌です。減ります。我慢できません」

「減らんだろうが。何が減るんだ。あと何を我慢できなくなる予想なんだよ。こぇぇよ」


 王太子殿下は思っていたよりお話ししやすくて、ホッとしました。同行を許可していただいて、本当にありがたいです。

 なにかお礼をしたいのですが、王太子殿下が食べるものは必ず毒見役がいます。唯一得意の食べ物はだめ。物も……そもそもたくさん持ってあるし…………お礼は言葉で礼を尽くすしかないようです。


「ふふふっ。本当にソフィ嬢は素直だなぁ。それなら、妻を迎えたときは友人になってくれ。ちょっと、気が強すぎてなぁ……」

「ちょっとですかね?」


 ジョルダンさまあぁぁぁ!? どうやらジョルダン様も既知の仲のようですが、流石に他国のお姫様にそれは……。


「ちょっとじゃないのは気付いてる!」


 ――――あ、いいんですね。


 絶対に友人になってみせますと、約束しました。

 そこまでまいわれると、どういう方なのか逆に気になってしまいます。

 いつかお会いできる日が楽しみです。




次話も明日の朝に投稿します。

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