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29話:旅程一日目。

 



 道中の脳筋兄の煩いこと煩いこと。


「ソフィ! 聞いてるか!?」

「きいてます聞いてますキイテマス」

「ミヌエットは俺のことが信用できないのか?」


 兄は、ミヌエットに告白してオーケーをもらえたのに、彼女が私の実家の侍女を辞める気がないことを不審がっているようです。

 ミヌエット的には収入が急に減るのは嫌だという理由で、脳筋兄がどうこうではないとはっきり伝えたと言っていたのですが。


「言われた言葉をそのまま受け取ってください。脳筋のくせに余計なことを考えるから、あっちこっち思考が迷走するんです!」

「おま……もうちょい、真剣に付き合ってくれよぉ……」

「なんで初めての旅行で脳筋の恋愛相談を聞かなきゃなんですか。景色を楽しませて下さいっ! あの建物は何ですか? はい、説明!」

「鬼か! あれは、領地境界にある見張り台だ」


 気付いたら王都から出る寸前でした!

 王城で王太子殿下御一行と合流して、あわあわとしながらも殿下にカーテシーをしたり、お言葉を交わしたりという一大イベントをこなしました。そうして馬車に乗り込んだのですが…………。

 まさかあれから三時間も兄の恋愛相談を受けていたとは。


「国境を越えましたら、近くの町で昼食と休憩でしたわね?」

「あぁ」


 そのあと領主館のある都市に向かうために出発。

 領主館には夕方少し前に到着するそうで、そちらで一泊をさせていただき、翌朝に出発して夕方には視察先に到着の予定なのだそうです。


 出発前に、私まで一緒に領主館などにお伺いして大丈夫なのでしょうか、とジョルダン様にお伺いしたのですが、ジョルダン様はにこりと微笑んでむしろ助かると言われるだけでした。

 何やら、領主館で思うところがあるのだとか。




 予想だにしていなかった豪華すぎる昼食をいただき、馬車に乗り込み、またもや兄とゴトゴト揺られて到着したのは、ジョルダン様のご実家と同じくらい大きなお屋敷でした。

 少し離れたところにある馬場から全体が一望できます。


「ふほぉえ……すごい」

「いや、いつ見てもでかいし、目が痛いよな」


 脳筋兄でも金ピカ攻撃は苦手なようです。

 なんというか、壁面にある彫り込みや窓枠がギンギラと輝いているのです。金で装飾をされているのでしょうか?


「剥がしたりして、盗まれないんですかね?」

「ほら、そこかしこに警備がいるだろ」

「ほぉあぁぁぁ。凄い」


 そんな会話を繰り広げていましたら、後ろからクスクスとした笑い声と複数人の足音。これは間違いなく御一行様です。

 御一行様というか本隊というか……ですけど。

 さっと振り向きカーテシーをしましたら、ポンポンと頭を叩かれました。

 ジョルダン様かと思い顔を上げたらまさかの王太子殿下。


「ふひょっ!?」


 変な声も漏れ出るというものです。


「殿下、何を人の妻に気軽に触れているのですか。斬りますよ?」

「いや、なんか……こう…………うさぎみたいだなぁと、な?」

「な? じゃありません。斬りますよ?」

「はいはい、すまんすまん」


 王太子殿下がぺぺッと手を振って領主館の前に勢ぞろいしていた人たちの方へと足を進められました。

 私達は最後尾に並ぶそうです。

 部屋に案内されたら必要な分のみ荷ほどきをして、夜は晩餐会。

 晩餐会が終われば、ジョルダン様とやっとお喋りできます!




次話も明日の朝に投稿します。

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