19話:イチャイチャタイム?
結婚式の翌日、お昼をちょっと過ぎた頃。
普通の夫婦であれば、こう……結婚式の披露と、初夜とかなんとかかんとかで、グッスリ寝ているかイチャラブしているかの二択だとか…………マジですか?
「はははははは!」
ベッドの中で大爆笑されている私って何なんでしょうか。
「も……ブフッ。もうちょっとで届くから、んははは! がっ、我慢しなさいっ」
ちょっと前までは、普通にイチャッとしていたんですよ?
クスクスとおしゃべりしたり。
お腹が減ってはいたものの、ベッドから動けないし、ジョルダン様とぴったりとくっついていることが嬉しくて、このままでいたかったし。
――――グォルギュルルル!
「グッ…………ハハハハハ!」
「もぅっ! 笑わないでくださいっ!」
「すまんすまん」
目尻に滲んだ涙を拭いながら、ジョルダン様が軽ーく謝られます。
――――ンギュルン、ゴギュゥゥゥ。
「ブッ!」
ジョルダン様がベルで侍女さんを呼び出し、朝食を寝室に運ぶよう伝えてはいるのですが、その待ち時間の間にも私のお腹が鳴り続けていました。
「ふははっ。鳴るというより、吠えてるな」
「そういうツッコミは求めてませんっ!」
「ん、怒るな。可愛くて笑っているんだ」
破顔してチュッと唇にバードキス。
ここここんなもので絆されると思われるのは癪です!
「もう一回っ!」
「承知しました、お嬢さん」
いたずらっぽく笑いながらジョルダン様がまたキスをくださいました。
まぁ、許してあげましょう。
しっかりガッツリ、しかもジョルダン様からも分けてもらいつつ、ご飯を食べました。
朝ご飯なのか、お昼ご飯なのかが、ちょっとだけ気になるところです。
「シェフさんの作るお料理は、味も見た目も美しいですねぇ」
我が家は諸事情でど貧乏だったので基本自炊でした。
これからは、毎日シェフさんのお料理が食べられるのかと思うと、嬉しさと恐ろしさが隣り合わせな気分です。
「ん? なんで恐ろしさもなんだ?」
「美味しすぎて、おかわりを繰り返しそうで。その……お腹のプニが…………」
なぜかジョルダン様がきょとんとした顔になりました。そして、段々と妖艶な微笑みに。
「なるほど。ならば、毎夜しっかりと夫婦で運動しないとな」
夜の帝王が出てきてしまいました。お昼なのに!
いったいどういった原理なのでしょうか。
きっちりとした召喚法を学ばないと、だめな気がします。
危機管理、大切です!
「んー? そうだなぁ。色々と学んでいこうな?」
ぽすんとベッドに押し倒されてしまいました。
――――あら? あららら?
「だーんちょぉぉぉぉぉ!」
「「……」」
聞き覚えのある声。
「マクシム様! お待ち下さい! 御主人様はただいま――――」
「大丈夫大丈夫、だーんーちょぉぉぉ!」
ものすごく聞き覚えのある声。
「ハァ」
ジョルダン様が起き上がり、私にしっかりと布団を被せ、ご自身はガウンを羽織られました。
「待っていなさい。殺してくる」
「ちょっ!?」
ジョルダン様がベッドの脇に置かれていた剣をグワシッと握り、部屋から出ていかれました。
ベッドの横に剣なんて置かれていたのですね。
そして、部屋の外からわーぎゃーと脳筋兄の叫び声が聞こえるので、たぶん生きてます。たぶん大丈夫なのでしょう。
多少悩みはしましたが、ジョルダン様がなかなか戻られないので、取り敢えず寝てしまおうと思います。
だって、お腹いっぱいになりましたし、結構疲労困憊ですので。
午睡は必須科目なのですっ!
次話も明日の朝に投稿します。




