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14話:嫁入り前の娘の行動?

 



 熱も下がって元気モリモリになって一週間。

 だから仕方ないと思うのよ。

 人は皆、食べないと死んでしまうもの。


「……明らかに丸まってるよな?」

「…………煩いですわ」

「ソフィ、流石にドレスが」

「分かっていますっ!」


 仕方ないと思うのよ!

 というか、ジョルダン様が下さった果物類が、一番攻撃力が高かった気がする。


「今日は山菜採りに出掛けてきますわ」


 裏手に山があります。

 そこを山菜採りつつうろちょろすれば、なかなかいい運動になるはずです。




 草木をかき分け散策。


「あ、アスパラですわ」


 アスパラはベーコンなどと炒めたり、スープに入れたり、サラダにしたりと、かなり便利なのです。沢山採りましょう。

 ラムソンも発見しました、これもサラダやパスタなど様々な使い道があります。


 更に森の奥へ進みつつ、木の根元に生えているネトルの葉を棘に気をつけつつプチプチと収穫。

 コレはハーブティーにするのがおすすめです。

 しばらく歩いていると、小川に到着しました。

 木の側にある大きな岩に座り、持ってきていたサンドイッチをもぐもぐ。


「はぁ、涼しい」


 お昼を過ぎていたので日が少し傾き、丁度良い感じに木陰になって、初夏のじっとりとした暑さを和らげてくれています。

 風もよく吹いて…………風も……あら? 風強いですね?

 なんだか雲行きも怪しく………………あ、クレソン発見。

 

 むーん、むーん、と悩みつつもクレソンをプチプチ。プチプチ。ポツポツ。ポツポツ?


 ――――あ。


 雨が降ってきてしまいました。

 空もどんよりと重くなってきていますし、このまま本降りになってしまいそうです。

 慌てて荷物をまとめて下山しました。




「ただだだだだいま戻りましたー」

「ソフィ!? びしょ濡れじゃない! 早くお風呂で温まりなさい! 山菜もらうわね」


 土砂降りの中を歩いて帰ってきたため、体が冷えてガタガタと震えます。きちんと話せません。

 お母様が心配しつつも、かなーり冷静に山菜を受け取ると、ルンルンとキッチンに向かわれました。

 

 私は猛烈にベーコンとアスパラの炒めものが食べたいのですが、伝えそこねました。

 バスタブに浸かりつつ、採ってきた山菜類をどう使おうかと悩んでいる間に、ウトウト。


 はっ!と気付いたときには、バスタブのお湯は体温よりも少し低めになっていました。


「寒っ!」


 慌ててお風呂から上がり、服を着ました。

 はぁ、今日は運が悪いです。また熱でも出してしまったら……ジョルダン様の果物攻撃があるのかしら?


 ――――じゅるっ。


 おっと。

 私ったら何を妄想しているのかしら?

 ぶんぶんと頭を振って、お母様の手伝いをすべく、キッチンに向かいました。


 キッチンではクレソンとほうれん草のサラダと、アスパラと人参のミルクスープ、ラムソンはチキンソテーに添えられていました。


「くっ……ベーコン炒め…………」

「あら、食べたかったの? 貴女好きだものねぇ」


 わかっていたのなら作ってくださいよお母様。

 プチプチといじけていると、お母様が少し寂しそうに笑いながら呟かれました。


「まだまだ子供のような事ばっかりするのに、もうお嫁に行くのねぇ。こんなやり取りはあと何回できるかしら……」

「お母様…………大丈夫です、ジョルダン様のお家は割と近くなので、直ぐに顔が出せます!」

「………………淑女教育、一から詰め込もうかしら?」

「何故に!?」


 嫁入りした身で実家に何度も気軽に帰ったら駄目だと、滾々と説教されてしまいました。




 そんな話をしていた翌週、どうにか時間ができたとフラフラしながら逢いに来て下さったジョルダン様に、逢えなかった間の出来事をお話していました。


「なっ……風邪は!? 体調が悪かったりは!?」

「へ? 元気モリモリですが?」


 ジョルダン様が慌てて私の額や首を触り、熱が無いかの確認を始めました。


「団長ー、コイツ絶対に風邪とかひきませんって」

「…………お前、なぜ普通にここにいる」


 いつの間にかサロンに兄がいました。

 どうやらお母様に命令されてお茶とお茶菓子を持ってきたようです。

 そして何故かジョルダン様の隣に座りました。

 私、ジョルダン様、脳筋兄、という並び、謎です。


「感謝する。この家から出ていけ」

「いや、ここ、俺の家ですけどね!?」

「暑苦しい。そんなに元気ならもう一勤務してこい」

「そんなぁ!」


 淡々とぶった斬るジョルダン様と縋り付く脳筋。

 なかなか美味しいシチュエーションですね。


「あ、すみません、正面から見たいので移動しますね」

「は!?」


 ジョルダン様の横から移動しようとしましたら、腰をガッチリホールドで抱き寄せられました。


「マクシム、本気で怒らせるな」

「はっ! 失礼いたしました!」


 兄が敬礼して出て行ってしまいました。

 ジョルダン様を怒らせるだけ怒らせて逃げるなんて!

 確実に私だけ怒られるじゃないですか……。

 



次話も明日の朝に投稿します。

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