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台所の排水詰まりを自力で解決した話  作者: 沖綱真優
第二部 秘密兵器の目覚め
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二の二 淀みゆく成果 〜疑惑〜

 第一汚水枡の清掃が完了した。

 内径およそ九センチ、深さ六十センチほどの汚水枡の内部に、十数年掛けて詰まり詰まった油脂の固まりと汚泥を取り除き、公共下水道までの導通は確保された。


 しかし、数年にわたり悩まされてきた排水管の音からは解放されておらず、更なる調査が必要だった。


 ただ、プロフェッショナルでない素人、何をどうすれば良いのか分からない。


 流れてるし、いいか。


 寒さと多忙に言い訳しつつ、年越しから一ヶ月後にようやく重い腰を上げて、第一汚水枡のフタを開けた。


 ()()。いや、そうか。


 鈍い青色の汚水枡の内部には、上流側排水管出口から十センチほど下方と、さらに十五センチほど下の右側面に黄土色の脂が張り付いていた。

 触れるとベタついて容易には取れない上に恐ろしく臭い例の汚泥である。

 二箇所、量は少ないが、こんもりと立体的に形成されている。


 軽い油脂分がこの位置まで上がる、つまり、流れがスムーズでない証拠だと考えられた。


 台所シンクからの排水は流れてはいるが、大量に流した際には一旦汚水枡の中で水位が上がり、ゆっくりと下流へ行く。

 水位が上がった場所には、浮いた油脂分がくっついてしまう。

 一度付着してしまえば、それを核にして育つ。水位が上昇しなくても徐々に汚泥は大きくなっていくのだ。


 取り除こう。


 新しく買い揃えた道具で手早くこそげ取る。

 それから。


 試してみるか。


 スプーン型のシリコンスパチュラに持ち替える。汚水枡の底から左側、下流側への入口を浚うため、適した形状と期待して購入したが。


 届かないか。


 内径に対して軸部は長く、スプーンの先端が奥底の横穴に入り込むほど傾けられない。

 汚泥を掬う手応えはなかった。


 長手袋に包まれた腕を汚水枡から引き抜く。

 第一汚水枡に対してはこれ以上できることはない。

 念のため、台所シンクから多めの水を流したもらい、排水状況を確認した。

 ちろちろと落ちる水に、汚水枡の水位はさほど上がらず流れていった。


 さて。

 作業着に着替えたというのに、これで終わりも。


 第一汚水枡から左に顔を向けると、犬走りに転がしたままの園芸支柱が目に入った。

 その錆びた棒切れと一緒の視界に、丸いフタがあった。


『おすい』と書かれた二十センチ弱の丸いフタ。

 二番目の汚水枡だ。


 この中も、間違いなく。


 第一汚水枡の状況から鑑みて、キレイにツルリとした塩ビ管の青が見えはしないと予想しつつマイナスドライバーで開ける。


 ()()()


 灰色と黄土色が斑らに入った大きな固まり。

 ()()()()()()()視覚から聴覚を直接揺さぶる存在感で、第二汚水枡の入口に鎮座していた。



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