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プロローグ 役立たずの最弱冒険者、追放される。

新作です。

なんの影響を受けているか、分かる人には分かる件(*‘ω‘ *)









「……ったく。弱い奴が二人になったところで、役立たずなんだよ!」

「く……!?」



 ボクはパーティーリーダーの言葉に奥歯を噛み締める。

 悔しかった。それはきっと、自分だけではない。ボクと共にあり、そして共に戦い続けてきた『彼女』もまた、この言葉に傷ついていただろう。

 でも、言い返すこともできない。

 何故なら相手のそれは、どこまでいっても正しかったから。



「レアスキルだって聞いたから、俺はお前らを引き取ったんだ。だがな、それがこんなに弱っちいなんて聞いてねぇんだよ! ――聞いてんのか、オド!!」

「…………はい。すみ、ません……」



 ボクは唇を噛み、詰まりながらも頭を下げた。

 こうやって叱咤されるのも、何度目だろう。そう思っていると――。



「もういい、お前らは追放だ」

「――え?」



 ふと、呆れたような声でリーダーはボクに告げた。

 思わず面を上げると、そこにはあからさまにこちらを見下す彼の顔。寒気を覚えるようなそれに、固い唾を呑み込む。

 すると、そんなボクを見て相手は言った。




「じゃあな、取り柄ナシの最弱冒険者」――と。









 ボクことオド・アルディンは、深いため息をつきながら街を歩いていた。

 今までどうにか誤魔化しながら続けてきた冒険者稼業も、さっきの一件で途切れてしまったのだ。これでは生まれ育った孤児院への仕送りどころか、自分の生活すら怪しい。

 もっとも、いずれ終わりは見えていたのだけど……。



「どうしよう、これから……」



 大きな独り言。

 冬季に突入して寒さ厳しい中で、それは白く染まって消えていった。

 自分への呆れのこもった言葉を見送って、ボクは改めて深くため息をつく。すると、そんなボクに声をかけてくる少女がいた。



「ため息ついても仕方ないよ。前を向かなきゃ!」

「そうは言っても、難しいって。――マナ」



 いつの間にか傍らにいた彼女――マナに、ボクはそう返す。

 闇に紛れるような黒い髪と瞳。中性的な顔立ち、そして背丈もボクにそっくりだ。唯一の違いといえば、性別だろうか。ただ、それもマナの自己申告なので真偽不明だ。

 そんな少女、マナ・アルディンはこちらの意に反して明るく笑ってみせる。



「大丈夫だって! アタシとオドの二人なら、何でもできるよ?」

「うーん……」



 数メイル先を進んだマナは、こちらを振り返ってそう口にした。

 ついさっき追放されたのだけど、どうやら彼女にとってはたいした出来事ではないらしい。ボクは自分の鏡のようなマナの言葉に、一つ息をついて頷いた。



「なんでも、か……。そうだね、諦めるのはまだ早い」

「そうそう、その調子!」



 いつものように笑う少女。

 小心者なボクとは対照的に、マナは昔から楽天的だった。

 それに救われた回数は、指の本数では足りないほど。今回も弱気になりそうな気持ちを奮い立たせ、マナに訊ねた。



「それで、具体的にどうするの?」

「ん?」

「え?」

「え?」

「…………」

「…………」



 ――しかし、沈黙する。

 どうやら、マナも今後についてはまったく考えていなかったらしい。

 こちらの冷めた視線に、苦笑しながら頬を掻く少女。ボクはいつもと変わらない相方に、むしろ安心感を覚えるのだった。



「とにかく、当面の生活費を稼がないとね」



 その上で、そう提案する。


 そうなのだ。

 ボクとマナは、ただいま無職の状態。

 まずは、最低限の日銭を稼がなければならない。そう――。



「そうだね! でも、二人なら――」



 マナが、笑顔で言うように。





「『一人分の生活費』なんて、すぐに稼げるよ!」






 ボクとマナには、それだけで十分なのだから。




 


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