悪役令嬢は観察をする。
まず、なんと言うべきか解りませんが、一応御挨拶させていただきます。
ごきげんよう、私の名前はニーニャ・ボーマ・ドゥ・アニラス公爵家の長女をしております。
現在、私はヒロインに指を指されこういわれています。
「殿下! 私はこの女、殿下の許婚のニーニャ・ボーマ・ドゥ・アニラスさまに苛められています。
理由は、殿下に近づきその嫉妬でとりまきを使い、靴を隠されたり、教科書を噴水に落とされたりしております。
どうか、助けてください!!」
なんていわれていますが、私は王子に惚れてもいないし、まず、婚約もしていないので正直迷惑極まりありません。
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拝啓、皆々様、私ことニーニャは転生をしました。
そう、女の身体に転生を、俺はしました。
敬具
で終わらせたら、おもしろいかな~とか思いながら、自身のことを言わせていただきたいと思いますがまず最初にゲスイのですが言わせて貰いたく、また、共感してほしく言わせていただきますわ。
俺、突く方でなく突かれる方に、男の思考でなりショックが大きく。もっと言うと付いてないです。
やったぜ、百合由利祭りだーーー!! とかないです。まずは、そこに行き着きました。
さて、そんなことを伝えていてもお話が続きませんのでなぜ私が転生したのかを、なぜ男の私が、この乙女ゲームの世界だと気がついたのかを説明していきたいと思います。
俺の名前は香坂一騎。年齢は17歳、下に妹が二人居る。
その日、我が家は代々とあるお殿様に仕えた忍びの一族で現在はただの人になった一族だが、伝統技術を廃れさせないため最低限の体術と武器術を習わなければならず、頑張った。
大体、高1から高3の3年間鍛えれば解放されるのだが始まると修行は命がけで毎日ボロボロでベッドで寝ていました。
だが、その日の夜中事件は起こったのです。
夜中、オレイモを愛読書にしている妹の一人が部屋にやってきて俺を襲いました。
ドスリ! と唐突にお腹に衝撃が走り、ジジイの奇襲か!! と寝床に隠してある模造刀を握ろうとして、「お兄っ、お兄っ!」と小声が聞こえてきて、刀を取るのをやめました。
そして、いい年頃の妹が結構際どいパンツとTシャツが暗がりになんとなく見えて、寝ぼけている俺の頭は「妹に襲われる!」という恐怖と「今日私の始めては妹にッ…」というボケを頭の中で展開させて、最後に「オレイモ読んでいるけど、この妹、まじなのかなぁ?」なんて思っていたら、妹は言いました。
「お兄、ぼ、僕と一緒に乙女ゲームして欲しいんだっ」
手をぎゅっと胸の前で握って勇気を振り絞って見える我が可愛らしい中1の妹が月明かりの中浮かび上がったが、まず俺が思ったのは、意味が解らず、もう一回言って、何言ったという感じで答えた。
「パードゥン?」
妹は答えた。
「僕と一緒に乙女ゲームを攻略して欲しいんだ」
俺は固まった。
固まって、思った。
何で、深夜のこの時間にお兄ちゃん疲れているの知っててたたき起こしてこんなこと言ってるんだ? と疑問系で考えていると、妹は言うのだ。
「オレイモの一巻読んで、これだって思って、お兄を今起こしているんだ!」
元気にそんなことを言う妹に、なぜ俺の心が! と驚愕していると、妹ちゃんは言った。
「さっきから声に出してるよ」
可愛らしく小首をかしげる妹に、お兄ちゃん思った。
『おっと~~~』
お兄ちゃんである俺は起き上がった。
ちなみにこのまま起き上がると妹ちゃんが滑り落ちてしまうので、いつかお嫁に出してしまうけど、親ではないが嫁に出したくないお兄ちゃんとしてはすべり落ちないようにお尻を掴んだ状態で起き上がりつつ、二度妹ちゃんの尻を揉んで座る姿勢をとる。
ちなみに妹ちゃんは中1の女子なのに俺に懐いてくれていて、
「いつもいつも、お兄お知り触って、エッチはだめなんだよ」
ちょっと頬を染めて小言を言うだけでスルリと下りて付いてきてとばかしに自分の部屋に向かっていったのだった。
俺は時間を確認するとAM1時過ぎで、とりあえず今日は30分少し話をして、30分ゲームしてから寝る事にした。
妹は先に自分の部屋に行っている。
開けると電気がついていて、妹が待っている。
PCゲームで乙女ゲームを展開しているが、まず思うことが、うん。女の子のにほひがする。すんすん。ふは~。
「お兄っ、女の子の部屋を嗅いじゃだめっ!」
怒られてしまった。が、俺のところにやってきて俺の胸をポカポカ殴ってくるので俺はすぐに言葉で謝るが心では、すんすん。………ふふ。と笑う。
「とりあえずなんだが、まず聞きたいことがあるんだが」
俺はなぜ乙女ゲームをやる仲間に選ばれたのかが気に成ってまずそこを聞きたく。
「うん。なーにぃ」
素直な妹は俺を見つめてくる。
「何で、俺がお前のゲーム相手に選ばれたの?」
その言葉に妹は………と答えた。がここは話を進めるために俺が要約する。
元々内の家系は忍者の末裔であるが、普通の家庭でもある。
そして、現在妹は思春期でお父さんと爺ちゃんを寄せ付けない。お兄ちゃんは平気らしく、親父たちの代わりに妹の成長を見守っている。
また、祖母は今はなく、母は妹のゲームのことは知っていそうだが、母とゲームを普段からしない小6の妹が居るのだが、この子は男より女が好きで乙女ゲームはたぶんやらない。
じゃぁ、友達は? と、なるが友達の多くは、まずゲームをやらない。
この妹の《僕っこ》はゲームもするのだが何気にスポーツ万能でスポーツ系の部活をしているせいで、文系連中とも会うことなく悶々とした日々を送っていたのだという。
そして、たまたま俺の部屋に入りオレイモ読み出したら、面白くなり時より勝手に入って読んでいたらしいが、一巻を読みなをして、ふと天啓を得たのだという。
そうか、お兄にお願いして一緒にゲームをして感想を貰えばいいんだ。
それで、もし断ったら、お兄にお尻触られていることを泣きながらお父さんとお爺ちゃんに言おうっと思ってるって言われて、俺は二つ返事で「どうか、一緒にゲームをやらせてください」とお願いしたのだった。
そうして、俺はゲームをすることになったが現在早半年ゲームの裏ルートもクリアして、妹ともイチャイチャしながらゲームの話をして、とある事件が起きたのだった。
外で妹にデートを誘ってくる相手がしつこいとのことで妹に条件付で受けろとアドバイスして、そのデートを御一緒して笑顔で《殺すぞ》とアピールをしながらお喋りしていたときのことだった。
キューキュルキュルキュル!! と何かのブレーキ音が町に木霊して、俺はその音がドンドン近づいていることに気が付いて、気が付いたときには遅かった。
せめて、せめて、妹だけは、と隣に居た妹を抱きしめた瞬間目の前の男の子は恐らく逝ったし、俺に向けても大きめなガラス片が飛んできてその後の記憶が俺には無い。
そして、気が付いたのは今の女の子になった世界だった。
当初の私は混乱した。
混乱し、私の面倒を見切れなかったメイドたちを父が暇を出そうとしていた時に目を覚ましながら、なんか泣きながら暇にするな。もったいないとか言ったらしい。が、憶えていない。
何せ言ったとたん気絶したらしい。
それも憶えていない。
その後、目が覚めて自身の姿に気が付きまた錯乱して医者を呼ばれて、この姿が事実なことに驚き、諦め思ったのが、転生しちゃった!? そして、突く方でなく突かれるほうで、確認で見て、付いていない! と驚いた。
でも、他の事ではあまり困らなかった。
前の私の記憶があったそれが今と同化して正直困らなくなった。
ついでにそのときに私の面倒を見ていたメイドたちは当事は私の我侭振りと傲慢ぶりに恐れ、辟易していたらしいが一時的に記憶の混濁があったがその間も私は彼女らを守ったお陰で感動されて今は腹心の部下くらいに仲良くなり、当時私が何をしてこうなったのかを教えてくれたのだった。
どうやら、目の不住な老人を落とし穴に落とそうとして自分が掘らせた所を忘れて落ちたのだということだったが、私は思った。
こいつ(前の私=ニーニャ)糞だな。そう思いつつ、自身の名前に覚えがあることに気が付き、まさかな、なんて思いながら過ごしていたら、あるときに、この国の王子が我が公爵家に来ることになった。
何でも、未来のお妃候補に私が上がっているため、一応顔合わせということで来ることが分かった。
王子様の名前が、エラード・ビス・ドゥ・アストラス様。
その名前には覚えがある。
そして、自分の名前にもまさかまさかと脅えていたが、私はなろう小説もよく読んでいたことに一番最悪なパターンを先読みすることになった。
私は、脅えたのは一瞬だったが、まず思ったのが、大丈夫じゃね? だった。
なぜ、大丈夫じゃね? なのか。
それは、今までの傲慢で我侭なままだったら、確かにあの悪役令嬢のようになってしまったかもしれないが、今は俺があの悪役令嬢の幼少期を行っており、別に婚約しなければあのゲームのようにならないし、何よりも俺がこの身体を操作している限り因果律から外れるんじゃね? と考えたのでそのまんま断るほうにシフトすることにした。
私は王子が顔合わせというお見合いの時に私は大きな声で叫ぶことにした。
「私は将来、お父様と結婚したいので婚約者いうのは嫌です!」
世の中娘に甘いのは前の世界で父親を見ていたので知っているため、今を無難にやり過ごすため、絶対家から出たくないアピールのため、王子様が到着しテラスでお見合いの場でお互いに名前を名乗った後、まず先制パンチを繰り出してそう言い放った。
父は焦っていたが顔が満更でもなかったのか少しキモかったが、相手側は驚いているのだけは分かったのと父の腰にしがみつく私を見て王子は眼を開いて固まっていたのが印象的だったのが始めての出会いだった。
それから何度か王子と出会うことになるが、私が一切王子に興味がないことが王子にも王家にも父にもわかると私と王子の婚約話はお流れになり、気が付くと王子には侯爵家の御令嬢と婚約発表がなされた。
が、ここで何の因果律かよくわからないが、王家に呼ばれることになった。
なぜ、呼ばれるのか解らずドキドキしながら、王城に出向くと私のドキドキは杞憂に終わる。
王子の婚約者で未来の国母(王妃)の友達になって欲しいという打診だった。
最初は少し警戒したが、それもすぐに終わった。
本当に友達になって欲しいということだったし、王子と侯爵令嬢は相思相愛のように仲がよく、なぜ私が呼ばれたのかというと王子に一切興味を示さなかったのが今後を考え立場的にもよく思われたし王子を略奪婚しなさそう。ということだった。
私はすぐに友達になった。
侯爵令嬢の名は、スーナという。
私はスーナと仲良くお茶を飲み、世間話をし、お互いにお互いの持っている情報を晒しだした。が、私が転生者であることは伝えていない。でも、信頼関係はあった。
だから、友として王妃教育が大変な時は支えた。
無二の親友ともいえる立場をもぎ取るのだった。
そして、そうこうしている間に学園に通いだした。
一応、調べることにした。
あと、出てこなかった攻略対象が出てきていないかを。
結果、いた。いたのだ、攻略対象(G=ゴキブリ)が、私にとってこのGどもは最悪の状況だったらマジでG同列である。
まぁ今は関係なのでGとはいわず名前で読んで差し上げますけどね。
彼らの行動を見ていても、私に関わらないし私も必要なこと以外関わらないので平穏に過ごしていると、とある中庭でそいつに出会ったのです。
そいつの名前は、ナノハ。ナノハ・スミリ、この世界のヒロインのポジションに当たる平民の娘でしたが彼女の最初の一言目がこうでした。
「これで、にっくきニーニャを引きずり下ろして、私のハーレムエンドを迎えるぞー!! おおーーー!!」
そう叫んでいたのを目撃した私件俺はすぐに思いました。
あっ、あいつ、転生者か何かだ。
声をかけるべきか? 否か。を考え、この世界のルールが変わってきていることを教えてあげるかを考えましたが、何も知らないし、まだ何もしてない相手を引きずり下ろすとか言っている相手は相手にしないでいいと思って観察することにしました。が、本当は、いつ気がつくのか見たくなったので、声をかけないという選択をすることにしました。
というか、もう自身がその身体に転生しているので因果律から離れた。とかとは考えないんだろうか? 冷静な俺がそう思っていたりしました。
そうこうしていると、様々はことが起こり………、起こったり起こらなかったりしました。
ちなみに私は一応確認しに行くべきイベントに行って観察しましたが、見たり見なかったりで、現実的にナノハさんが口説けそうなのは全部で攻略対象が裏も合わせて7人でしたが、2人しか口説けそうもなかったことに私も驚きました。
これだけ、本来の人が本来の場所に居ないとこうなるのかという事態を見せてくれて正直楽しかったです。
ナノハさんは「こんな、乙女ゲーム、乙女げーむじゃねーーー」と中庭で吠えていましたが、私はこう思いました。
『いえ、ナノハさん。ここはゲームの世界でなくて、現実の世界です。ゲームと思うのはあなたの勝手ですが、いつからこの世界がゲームって、誰が言ったんですか?』
そう思って、私はそっともの影より移動して親友のスーナの元に向かいました。
相変わらず王子と仲のいいスーナに上から目線で年上で同階級の貴族令嬢が嫌味を行っているところに出くわしました。
笑顔のスーナのあしらいにセンスを叩き、怒りを露わにしている令嬢に私は後ろから笑顔で声をかけてけん制します。
私の登場に年上令嬢貴族は分が悪いと判断したのか私の横を通って去ろうとするので、仄暗い声を出して、彼女の心をワシ掴みにしてさようならしました。
恐らく、二度と近寄ってこないでしょう。
私は疲れた顔のスーナに感謝され、いいのよ、友達でしょっとお尻さわさわすると、「きゃっ」と声をだして、もう、にーにゃ! って、怒られました。
そうして学園生活を謳歌して行き、そして卒業式のほとんどの小説とかでやるつるし上げ、そう冒頭のあの事件が発生するのです。
「殿下! 私はこの女、殿下の許婚のニーニャ・ボーマ・ドゥ・アニラスさまに苛められています。
理由は、殿下に近づきその嫉妬でとりまきを使い、靴を隠されたり、教科書を噴水に落とされたりしております。
どうか、助けてください!!」
なんていわれていましたが、皆一応にポカンとして首を傾げました。
シーンと広がる空気に一番最初に手を上げながら口を開いたのは、スーナでした。
あの。から始まる突込みが始まりました。
「あの、平民のナノハ様ですよね?」
易しく声をかける我が親友に、あんた誰よとメンチをキルヤンキーみたいな転生者。
「そうですが、あなたは?」
なんて失礼なことを遠慮なく、言う馬鹿。
「始めまして。私は殿下の婚約者のスーナ・エラン・ドゥ・ベナーラ侯爵家のものです」
見事なカーテシーを執る堂々とした親友スーナである。
しかも、確りと自身が殿下の許婚(婚約者)と言う易しさに私は感動する。
ついでにこの茶番が来るまで(ナノハさんに)教えなかった私最低だと思うが、実際本当にやるとは思っていなかったし、二人しか攻略できないことや因果律が狂っていることに気が付くかな~とも思っていたのでマジで吃驚していた。
時おり、「なんかへん」とか自身で言っていたので気が付いたのだと思っていたが、今回この人強行したのがわかって、観察の結果はこうなったと理解して胸がスーッとしたのだった。
客観的に見て私最低と思ったけど、元々悪役令嬢なんでいっか。と、忘れることにしたし、馬鹿な奴が悪いとほうっておくことにした。
そして、固まっているのはナノハさんであるが、数秒固まった後、「はい?」とようやく声を出したのだった。
私は、思わず扇子で顔を隠して噴出しそうな状況に必死に耐える。
その間も王子も参戦して、
「ナノハ嬢。失礼ながら申し上げるが、確かに私が幼少の時に婚約者候補に上がったことはあったが、私の婚約者はこちらのスーナだ。
ニーニャはスーナの親友で私とも友ではあるが、婚約者じゃないぞ」
それに、愛しているのはスーナだしな。なんて最後に言うもんだから、スーナも「殿下……」と頬を染めて仲睦ましい光景を見せてくれるが、少しだけ俺が気に食わなかったので、
「殿下、婚約者なのはわかるし愛しているのも友人として知っていますが、私の前で私の大事な親友に抱きつかないで下さいまし。」
御結婚はまだでしょ。っと彼らに近寄りながら親友をそっと自分の方に引き寄せると、殿下は参ったなぁと困ったような顔をし、スーナはまさか殿下と私に取り合っこされるとは思ってなかったのか驚きながらも笑い、私に声をかけてくれる。
「大丈夫、ちゃんと仲良くしますから」
私は、思ったことを口にして抱きつく。
「私がお嫁に欲しい」
もう、と笑っている親友に殿下は小声で、「今日までは譲ろう。だが明日から譲らん」と言い、スーナを赤くさせるのだったが、そう述べた殿下の目は私にこの状況をどうにかしろと命令してきたので、小さく頷き私は声を出した。
「いいですわ、殿下の知らないところで抱きつきますので、返して差し上げますわ」
抱きついていた親友からそっと離れて、元の所定に親友を戻し、私は別の所に足を向けた。
「それにしても、ナノハ様っ、少々皆様に刺激が強すぎるお遊びでありましてよっ! 皆さん本気になされているではありませんか!」
豪奢なドレスを着た私は扇子で口元を隠しながら堂々と声高にして彼女に近づいていきます。
彼女は「なにを……」なんて呟きますが、私はそれを無視して、
「あなたなりの余興だったのでしょう? 確か遠方の土地で平民の方の文化にお祝い事に人を驚かせて、思い出をより強い印象のものにする行事があると聞いたことがあります。
頭のいいあなたはその行事を知っていて今回のことをたくらんで私たちを楽しませてくれようとしたのでしょ」
最後まで言いながら彼女の前に表情は笑顔で目だけ殺人者の虚空の目で彼女を見据えると声が出ない。
が、それが本当のような言い回しのため、他の貴族たちが、えっ余興? 余興だったの? というような雰囲気になって行き、誰かの緊張を解く鼻息と共に場が緩やかになっていくのを感じ、そこに殿下がもう一言口をそれてきました。
「ほう、そうだったのか。これはナノハ嬢に一本取られた。
まさしく迫真の演技、見事と騙されてしまった。はっはっは」
から、一気に空気が緩和してそこかしこで話が再開され始めた。
回りの空気が呼吸を始めることにナノハがうろたえている所であり、声が小さい声を消すくらいの喧騒かし始めてきた時に私は彼女にだけ聞こえるとある言葉を伝える。
「お前、転生者か? 転生者なら、このまま余興ということにして引け、じゃないと王族侮辱罪でギロチン送りになるぞ。私に乗っかって置け、お前の知っている乙女ゲームの世界でなくここは現実だ。大概にしろ」
最後の大概にしろだけ日本語で言うと目の前の女は目を見開いている。
「さて、皆様。今日の我らの門出を驚きの思い出に変えてくれた女優に大きな拍手をいただけませんこと」
扇子を外して、回りに声をかける。
するとすぐさま一人が拍手をし始め大きな拍手へと変わる。
さぁ、こちらへと手を差し出すと彼女は震える手で私の手を取った。
私は笑顔で頷き、一瞥を殿下に『わかっているな』と向け、もう一瞥は友へ笑顔を向けて扉の外へ歩き出していくのだった。
我らの門出世よき日あれ。
完
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ちなみに予断である。
大広間から連れ出した彼女は私の手をとり、下を向いている。
私はまだ、歩いている。
ふと、歩きながら彼女は言った。
「いつから………」
知っていたの? なのか、黙ってみていたの? なのかよくわからないけど、まだ、その話は早かったので私は言う。
「まだ、ここで話せない。下手に喋って、魔女狩りに会いたいなら喋っても良いけど魔女扱いにされる身分はあなたよ」
そう言ったら黙った。
私はとある所に連れて行くためまだ歩いている。
ちなみに舌なめずりもしている。
そして、ようやくその部屋に付き、彼女と共にその部屋に入りそっと音を立てないで鍵を閉めて、まず彼女の唇を奪い彼女をホールドしてお尻も触ったが彼女は抵抗するので唇を離して一言だけ伝える。
「いいのよ。抵抗しても、でも、この世界であなたがしたことを咎める人間は多くいても守ってくれる人間どれだけ居るの? 身分が重視される世界で生きていけるなら抵抗しなさい」
大人しくなった。
結果、みんなハッピーとなった。
めでたしめでたし。
誤字報告くれた方、ありがとうございます。(21.12.7 2230時)