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特撮ヲタ、姫騎士のヒーローベルトに転生!  作者: 椎名 富比路
2-2 『めんどくさそうな女だな!』『ボクも同じ意見だよ……』

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イクスの意外な特技

「また、お姉さまのヴァイオリンが聴きたいです」

 ディアナが、姉であるイクスにねだる。


「随分と、懐かしいお話をなさるのですね。ディアナ」


「昔、コーデリア様に演奏会で負けちゃったけど、わたしはイクス姉さまの方が上手だと思っていました」


 ディアナの意見に、コデロも同感する。


「ごめんなさい、コデロ様。ご親戚のコーデリア様を悪く言うつもりは」

「いいえ。当時は私も同席していましたが、あなたのおっしゃるとおりでした」


 頭を下げるディアナを、コデロは特に責めたりはしない。

「わた……義姉コーデリアより、イクス様の演奏は清々しさを感じました」

 自分の名を言いかけて、コデロは慌てて言い直していた。



『楽器ができたのか。キミに、そんな一面があるなんてな』

 コデロがヴァイオリンを引けるなんて初耳だったリュートは、パートナーの意外な一面に驚く。


「かじった程度です。練習熱心だったイクスに比べれば、私の演奏など児戯に等しいものでした」

 コデロも、当時のイクスを振り返る。


 イクスは当時から、女性らしい趣味なんぞカケラも持ち合わせていなかったとか。


「編み物や歌などより、馬とともに走るのが好きな子でしたね」


 そんな彼女が唯一持っていたインドア的な特技が、ヴァイオリンだった。学生時代に行った演奏会の時、「イクスのワンサイドゲーム」と陰口を叩かれていたほど。主催がレプレスタだったからである。


 コデロは悪口の輪なんかに混ざらなかった。大した腕もないくせに、悪口を言う人間の気が知れない。


 ところが、イクスはわざとマニアックな曲に挑戦した。おかげで、票が割れてしまったのだ。


「結果、無難で聴き馴染みのあるものを選曲した私が、優秀賞に選ばれたのです」


 コーデリアからすれば、「短時間で練習できる曲」を選んだに過ぎない。

 そんな適当な理由で入賞しても、うれしいはずもなく。


「わたし、お姉さまの演奏が大好きです」


「そうなんですの、ディアナ。うれしいですわ」

 妹を溺愛しているのか、イクスはおとなしくなった。


 ラキアスも、笑いが止まらない。


「はい。練習しておきますわ」

 ディアナがパチパチと手を叩く。



「さすがのエスパーダも、かたなしですね」

「おだまりなさいっ」


 小声で、コデロとイクスが口論する。


「お姉さま、お祭りの当日、わたしと合奏なさいませんか?」

「あなたも、ヴァイオリンを?」

「ピアノです。お姉さまに負けないくらい、たくさん練習いたしましたの。お姉さまに聞いてもらいたくて」


 遠い西南のアファガイン楽団より、家庭教師を招いてレッスンをしているという。 


「まあ。アファガイン出身の方にご指導をいただいているとは、すごい」

 コデロが、ため息をつく。



『そんなにスゴイ楽団なのか?』


「アファガインは、『楽団大国』とのあだ名を持つ名門です」


 国が総力を上げて、優秀な音楽家を育成しているそうだ。これまでも、多くの音楽家を輩出してきた。

 落ちぶれたとしても、名前の知れた吟遊詩人となったエルフは数しれない。


「レンゲの故郷でもありますわ」

「そうなんですね」

「彼女も歌のセンスがあったのですが、剣を握ったほうが性に合うと、わたくしの家庭教師兼ボディガードになりましたの」


 音を使った攻撃は、幼少期に培われたものらしい。


 だから、音波攻撃が得意だったのか。


 リュートは納得する。  


「ディアナは後々、アファガイン楽団に正式入団させようと思っておる」

「お父様、このお話、本当ですの?」

「うむ。ディアナの腕は、当時のお前も凌ぐほどだぞ。先方も、ぜひにとおっしゃっている」


 しかし、当のディアナはあまりうれしくなさそうだ。身内ではないコデロ、人間ではないリュートですらわかるほどに。


「すばらしいことです。おめでとうございます。姫様」

 コデロが、ディアナを称賛した。


「あ、ありがとうございます。コデロ様」

 照れくさそうに、ディアナも頭を下げる。


「時期尚早ではございませんこと?」

「何を言うか。我が国に一流音楽家が生まれるんだぞ。喜ばしいことだ。ディアナは身体が弱い。子どもを産めるかどうか」


 この場にいたくないという表情を、ディアナが見せた。


「お父様、少々お口が過ぎるのではありませんこと⁉」

 我慢の限界か。イクスがテーブルに手を叩きつけて、席を立つ。



「悪かった。ディアナ、許しておくれ」


 国王が詫びると、ディアナは小さくうなずいた。


「それにしても、今日は家庭教師の方がお見えになっていなかったな?」

「言われてみれば、そうですわね?」


 イクスと国王が、不審がる。


「大変です!」

 兵士が青ざめた顔で、飛び出した。ドアの向こうをしきりに指差している。


「何事だ! 王子の御前であるぞ」

「これは失礼を! ですが、西方付近に魔物が多数出現の報告が! アファガイン楽団も足止めを食らっているとのこと!」


 調査に手間取り、報告が遅れたとのことだ。


「イクス、西と言えば」

「アロガント跡地、ですわね」


 なぜだろう。無関係とは思えない。ヒーローの勘が言っている。アロガントには何かがあると。


「急いで兵を集結させよ。それと、冒険者も」

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