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特撮ヲタ、姫騎士のヒーローベルトに転生!  作者: 椎名 富比路
2-2 『めんどくさそうな女だな!』『ボクも同じ意見だよ……』

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イクスのバイク

 大量の魔王石を持って、レプレスタ城下町に戻った。


「おお、待っていたぞ。吾輩の目に狂いはなかったな!」


 ノアが早速、マシンをフル稼働させて、魔除けづくりに精を出す。魔導窯から、次々と魔物除けが製造されていく。


 できあがった魔除けが、レプレスタの兵隊や冒険者の手によって運び出された。これから、レプレスタの街道へ設置していくのだ。


「最近、ダニーを見かけませんが」

「ダニーなら、エスパーダに頼まれていたよ。天才科学者ダニー・バンナの名前は、この辺りじゃ有名だからね。エスパーダから空き家を提供されて、何かを作っているみたいだ」


 エスパーダが、ダニーに依頼をしているとは。


『だいたいの予想はつくがな』

「ええ。行ってみましょう」


 コウガ側も、ダニーに頼みたいことがある。


 教わった小屋の場所へ行く。レプレスタ城下町の北門を抜けた先に、件の小屋はあった。鍛冶に使われていたらしい。鉄の匂いが充満していた。


「よお。何日も会ってない感じだな」

「やはり、これを作っていましたか。ダニー」


 ダニーがエスパーダのために作っていたのは、やはりバイクだ。


「予備のバイクパーツを作っておいてよかったぜ。こういうときがくると思っていたんだ」

『やけに禍々しいな』


 コウガが乗っているものより、生物に近い。怪人に用いられた部品を使っているからだろう。


「なぜコウガにあって、エスパーダに乗り物がない、ってよ。報酬はたんまりもらっている。レプレスタ領地の鉱山から、魔法石も受け取った」


 アイテム袋に手を入れてダニーが見せてきたのは、宝石の山である。使われているのは、すべて魔法石や、魔力のこもった装備品だった。


「俺からすれば、機械いじりさせてもらう方がありがたいんだけどな」

 宝石類を、ダニーはアイテム袋にしまう。


「よし、あとは魔法石を動力部にセットして、と」

 エスパーダのマシンが完成した。


 構造は、コウガのマシンを思わせる。だが、脆いパーツを覆い隠すように、ウロコが付いていた。特徴的なのは、翼竜怪人の翼である。


『羽が生えているが、飛べるのか?』


「理論上はな。あいつの魔力次第だが、大丈夫だろう」

 マシンを撫でながら、ダニーは嬉しそうな顔になった。


「楽しげですね」

「ああ。俺にもまだ、こんなマシンが組めるんだってな。自信がついた」


 後は動かすだけ。


 そこへ、イクスが現れた。いつものパンツルックで。クリスとレンゲも連れている。


「完成しましたの?」

「おうさ。試運転するかい?」


「もちろん」

 イクスは、マシンにまたがった。


『魔力の注ぎ込み作業、終わったよ』

 エンジンを掛けると、ノーマンが告げる。


「お茶会はよろしいので?」

「ええ。抜け出しました」


 随分と勝手である。

 イクスはいつも荒れているが、今日はそれ以上だ。


「どうかなさったので?」


「虫の居所が悪いのですわ。これは、魔物を蹴散らして発散するのがよろしいですわ。お付き合いくださる?」

 マシンのエンジンを、イクスは苛立ち気味に吹かす。


「参ります!」

 鉱山跡地をイクスはバイクで走り回った。

 まるで自分の手足かのように、マシンを乗りこなす。


『次は、飛翔実験だ!』

「心得ていますわ!」


 崖のような坂道を登りきり、イクスは一気にジャンプした。

 ワイバーンの翼を広げる。


「飛んでいますわ!」


 飛翔が見事に成功した。方向転換も完璧である。


「すさまじいです。初めて乗った道具を、いともたやすく」

 イクスのバイクが持つ性能に、レンゲは圧倒されていた。


『ベルトの機能だ』


 どこをどうすれば動くか、瞬時に把握できる。たとえ知識がなくても。


「こいつで、お祭りに参加すりゃいいのに」

『祭りってのは、なんだ?』

「王様がよぉ、王子の来訪を記念した式典を開くんだと」


 王子が滞在中の間に、準備をしていたらしい。


「魔物に命を狙われているのに、ですか?」

「そうさ。王様からすりゃ、犯人のあぶり出しもできるって魂胆だろう。そううまくいくかね?」


 相手に警戒されるのがオチだ。それどころか、みすみす王子を危険に晒しかねない。


「レプレスタ王は、国力の向上に必死です。今しか見ておりません」

『なぜ、そこまで国の力をつけようと躍起なんだ?』


「他国から、比較されるからです」

 イクスの運転を見ながら、レンゲが話してくれた。


 レプレスタは、多くの国をまたいで設立されている。

 エルフの持つ豊富な魔力石を目当てに、各国は忖度してきた。同時に様々な嫌がらせも。


 そんな状態に対して、レプレスタはパイプ役として間を取り持っている。


 当のエルフ国家は、いざとなれば外界との交流を断絶すればよいと考えていた。レプレスタのようなシティエルフ国なんぞ、下に見ている。


『田舎者の考えだな』

「おうよ。本家様はレプレスタのありがたみなんて、なんもわかってねえ。もしレプレスタがなくなれば、エルフなんてあっという間に衰退するぜ」


 イスリーブのような強い国家と契約を結べれば、今の状態も緩和できるのでは、と国王は考えているのだ。エルフ側も納得してくれるだろうと。


『おべっかを使うことに、我慢の限界が来ているのだな?』

「そういうことです」

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