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特撮ヲタ、姫騎士のヒーローベルトに転生!  作者: 椎名 富比路
第二章 「カレーが好物なのは戦隊のイエローだなんて、情報が古いぞ!」「へえ……」
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リュートの過去

 友だちとどこかへ行くどころか、学校へも通えなかった。


『キミたちの世界でも分かるように説明すると、【一生一人で立ちションできない】と告げられたよ。それくらい、重い病気だった。日常生活にすら支障をきたすほどの』


 リュートはバカ笑いをして見せたが、コーデリアは笑っていない。



 いつも病室と自室を行ったり来たり。

 たまに来る友だちも、リュートに遠慮して疎遠になっていった。

 学校は通信教育で博士号まで取ったが、友人らしい人物は誰もいない。


『想像してみろ。三〇年間、一人では何もできない生活を』


「壮絶な人生を、歩まれたのですね」


『そんなオレを救ってくれたのが、発明と、ヒーロー特撮だ』


「ト・ク・サ・ツ?」



『ヒーロー、つまり架空の英雄譚だ。弱い人たちを助け、泣き言を言わず、悪者をやっつける』



 彼らが素晴らしかったのは、志だ。

 孤独である自らの境遇に対して、少しも愚痴をこぼさない。

 もちろん心の弱さで挫けることもある。

 けれども、すぐに克服し、戦線に復帰した。


『オレだって、病気のことを何度も恨んだ。しかし、どれだけ巨大な悪でも立ちむかうヒーローたちの活躍を見て、オレにも何かやれるんじゃないかという気持ちが芽生えた』


 その一端が、発明品である。


『このベルトだって、発明記述によって再生してみたんだ。かつての骨董品からは似ても似つかなくなったけど、カッコイイだろ?』


 問いかけてみたが、反応がない。


 やはり、女の子にヒーローの素晴らしさを説くのは、ハードルが高すぎたか。


『スマン、一人でしゃべりすぎた』

「私は、デヴィランを殲滅できれば、他に何も要りません。あなたの理想とするヒーロー像にだって、興味がありません」


 コーデリアは、心を固く閉ざしてしまっている。


 これ以上の説得は無意味だろう。


『今はそれでいいさ。だが覚えておくんだ。キミの力は、誰かのためにあるのだと。そのために、オレはキミを助けたのだと』


 だが、今の状況に最も戸惑っていたのは、他ならぬリュートだった。


 自分が変身したときと、造形が違ったから。

 リュートが変身したときは、もっと姿形がヒーロー然としていた。

 色も銀色で、コーデリアが変わったような赤黒い色ではない。


 それにひきかえ、あの姿のなんておぞましいことか。

 まるで鬼だ。羅刹じゃないか。

 

 仮面の顔は険しく、まるで怒りに打ち震えているようにも、泣いているようにも見えた。


 コーデリアの精神が反映してしまったのか。

 あるいは、これが本来の姿だとでも?


 ヒーローらしくない。

 あまりにも、リュートの理想とはかけ離れていた。


 また、本来の力も取り戻せていない気がする。


 もっとコウガは強かったはず。あんなオーク如き、一撃で粉砕できるほどに。

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