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特撮ヲタ、姫騎士のヒーローベルトに転生!  作者: 椎名 富比路
2-2 『めんどくさそうな女だな!』『ボクも同じ意見だよ……』

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エルフ冒険者との再会

「たしか、クリスとレンゲでしたね」

「覚えていてくれたか」

「イクスの知り合いなら、忘れません」


 エスパーダの本名を知って、レンゲが反応した。


「イクス様をご存知でしたか」

「あなたは?」

「私は、幼少期のイクス様をお世話しておりました」


 冒険者になる前、レンゲはイクスの家庭教師だったらしい。


「主に剣術を、では?」


 レンゲが、息を呑んだ。

「よくご存知で」


「彼女は、腕の筋肉のつき方が独特です」


 重い装備で固める剣士は、全体的に筋肉質だ。

 

 しかしイクスは細身で、圧縮されつつバネのある肉付きをしていた。パワーより、スピードを優先しているような。


『あれは、居合道だな』


「よくご存知ですね」

 

 リュートの反応に、レンゲは驚きの顔を見せる。


「東洋でしか知られていない特殊な剣術ですのに」


 コデロは、自身の身の上を語った。リュートのことも隠さず。


「こういった事情がありまして」


「なるほど。よく分かりました。その地球とやらにも、同様の技があるのですね」


「で、あなたはイクスの武術指南を」


「はい。弓を引き絞るかのような動きが必要なのです」


 レンゲは、イクスに剣術と弓を教えていたという。


「待っている時間に耐えきれず、弓は早々と辞めてしまいましたが、剣は波長が合ったようでして」


 今や、イクスの腕はレンゲを遥かに超えてしまった。


 一方、クリスはあまりイクスを知らないらしい。


「オレは昔、ローグだったんだ。いわゆるコソ泥さ」


 悪徳金持ちを相手に、盗人をしていたという。人は殺さず、女は襲わず、子どもや年寄りは泣かさず、を貫いてきた。


『いわゆる義賊か』

「そんなキレイなもんじゃねえって」


 だが、とある王族のお城でドジを踏んでしまう。


「兵隊に囲まれたところを、エスパーダに助けられたのさ」


 それ以来、エスパーダに忠誠を誓っている。



「今回はレプレスタからのお触れですが、エスパーダからの依頼といっていいでしょう」


 レンゲの報告に寄ると、魔力石を採掘する洞窟は近い。だが、魔物が増えすぎて入れないという。


「でよぉ。オレたち戦闘要員で現場に向かおうってわけ」

「危険な任務です。やりますか」


 コデロは、うなずく。

「もちろん。参加致します」

「よしきた。ついてきな。道案内してやる」


 手続きを済ませ、洞窟へと続くルートに向かう。

「結構、遠いですよね。どうやって行くのです?」


 普通に歩けば、丸一日掛かりそうだ。


「こうやって行くのさ」

 クリスが、輪っか状にした指を口に当てて、笛を吹く。


 どこからともなく現れたのは、二頭のペガサスだ。


「エルフとペガサスに交流があるというのは、本当なのですね」

「もはや、欠かせぬ存在です」


 レンゲとクリスが、ペガサスに乗り込む。


「オレたちは、これに乗っていく。あんたは確か、バイクって早い乗り物があるんだよな?」


「はい。これで行きます」

 コデロは、ベルトに手をかざす。


 何もなかった地面が光って、羽の生えたバイクが現れた。


「ふへー。ペガサスの羽が生えてやがる」


「死んだペガサスの命を感じます。コデロさんを信頼なさっているような印象を受けますね」


 コデロが事情を説明すると、二人は納得する。

「ワイバーンとの戦いで死んだペガサスが、力をくれました」


「厄介なヤロウだぜ。ワイバーンのヤツめ」


 コウガがすべて倒したので、空の危険はないだろうとのことだ。


「ですが、この翼さえあれば、敵の本拠地へもひとっ飛びでは?」


「そうでもないんだ。できたら、とっくに乗り込んでる」


 どうも、事情はそんな都合よくはいかないらしい。

 このペガサスさえあれば、島の向こうにあるという敵のアジトまで飛べると思っていたが。


「ペガサスにも限界がある。途中で湖の水を飲まさねえと」

「ガス欠になると?」

「そうなんだ。あんたの翼だって、例外じゃないかもな」


 コウガの魔力だけでは、向こう岸にはたどり着けない。

 さらなる作戦が必要だという。


「ワイバーンを殺ったから、向こうだって手はないはずだ。何か仕掛てくるかもな」

「とにかく、今は鉱山へ急ぎましょう」


 急かされたコデロは、バイクで鉱山まで飛ばす。


『イクスはどうして、ペガサスに乗らないんだ?』


 そういえば、イクスが駆けつけたときには、普通の馬に乗っていた。


「ペガサスを使えば、自分がエスパーダとバラすようなものだ」

「なので、イクス嬢は市販の馬を利用しています。足がつかないように」


 彼女専用の足さえあれば、いいということか。


『もう一台、バイクがあればいいのか』

「また、あなたは。ですが、あの子なら考えかねませんね」


 呆れつつも、イクスの行動パターンを読んで、コデロは納得する。


「見えてきたぞ。あれが魔王石の鉱山だ」


 虹色に光る鉱山が、見えてきた。近くにペガサスとバイクを下ろす。


「様子を見てくるから、あんたらは引き上げてくれ」

「一日待って口笛がならなかったら、自力でギルドへ」


 クリスとレンゲ両名は、ペガサスにそう告げた。


「言葉が通じるのは、いいですね」

「エルフの言葉だけだがな」


 頭で翻訳できるように伝えれば、人間でもペガサスの言葉を把握できるらしいが。

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