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特撮ヲタ、姫騎士のヒーローベルトに転生!  作者: 椎名 富比路
第二部 二号は悪役令嬢! 蒼き戦乙女 エスパーダ! 2-1 『ライバル出現だな!』「お仲間ができてうれしそうですね」

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コウガ VS エスパーダ

『何者だ?』

「あれがイクス・レプレスタ。通称『エスパーダ』です」


『あの女が、エルフの王族で冒険者か』

 リュートは、目を疑った。


 エルフ女の手には、刀が握られているではないか。


 柄が西洋風なのに対し、鞘は日本刀のように曲がっていた。

『どうして、この世界には日本刀が?』

「あなたの世界では、そう呼ぶのですね。あれはエルフの標準的な曲刀です」


「いわゆる軍刀(サーベル)だな」


 コデロの説明によると、華奢なエルフが戦闘技術を補うために編み出した武器だそうだ。東洋の鍛冶技術を取り入れて打ったという。


「刺す、叩き潰す行為より、受け流す、抜刀と同時に切り捨てるといった、短期決戦用の武器だとか」


 ほぼ、日本刀の特徴と変わらない。



「変身、ですわ」

 刀を抜き、イクスという名のは虚空を切った。


 一瞬で、切り裂いた空間から光が溢れ出し、イクスの全身に降り注ぐ。


 現れたのは、蒼い【戦乙女】だった。


 コウガによく似ている。しかし、目のバイザー部分がハート型だ。そのビジュアルは、二足歩行のカマキリを思わせた。


『蒼いコウガ⁉』

 まさか、自分以外にもヒーローがいたとは。


「いえ、絶妙にビジュアルが違いますね」

 コデロも、困惑していた。


「この魔物は、わたくしの獲物ですわ!」


「なにを生意気な! このマタンゴ様を獲物呼ばわりだと?」

 怪人が、口からガス状の胞子を噴射する。


「口を利かないでくださる?」


 自動で動くマントで胞子を払い、一閃のもとに怪人を切り捨てた。


 エスパーダが、鞘に刀身を収める。

「まあ、こんなもんですわ」


『ああ、そうだな、トゥア!』

 脱力したエスパーダの横を、コウガは蹴り上げた。


「何を?」

『後ろ』


 エスパーダの背後に、新たなキノコ怪人がいたのである。コウガのキックを浴び、爆発した。


「な、デヴィランよ、新たな戦乙女が!」

 先に切られた怪人も、他の怪人と運命をともにする。


『助かった。礼を言う』

 コウガは、握手を求めた。


 エスパーダも手を差し出す。だが、コウガの手ではなく、手首を掴んだ。


「油断は禁物ですわ!」

 引き寄せからの上段蹴りが、コウガの顔めがけて飛んでくる。


『トゥア!』

 自ら手首をひねり、コウガは側転した。キックから逃れ、掴まれた手首も解く。


「それなりに勘はよろしいようで。ですが、甘いですわ!」

 再び、エスパーダが抜刀した。


 コウガはとっさによける。だが、胸にわずかながら火花が散った。


『なぜ攻撃してくる⁉ お前は味方ではないのか?』


「弱い英雄は、不要ですわ!」

 またも、エスパーダが刀の攻撃を繰り出す。


 コウガも両手持ちの剣を二本出し、刀を受け止める。



「コウガの厚い装甲の前では無意味でしょう。が、柔らかい部分を狙われては、いかにコウガでも」


 エスパーダの戦闘技術は、達人レベルだ。


 しかし、コデロは目にも留まらぬ速さで、エスパーダの攻撃を受け流している。


 まるで、高度なレベルの舞踏を見ているようだ。


『なんて美しい、戦い方なんだ』


 ピッタリと息のあった打ち合いに、戦闘中であることを忘れてリュートは酔いしれる。



「強いですわね。コーデリア・ドランスフォード相手でも、こうはいきませんでした」


「そうですか。では、お相手いたしましょう。ベルト様、レイジングフォームでいきます」


 コデロの要望に寄って、コウガの装甲が赤く変色した。レイジングフォームという、コデロの技術を最大限に発揮できるフォームである。


「手加減できませんので」

 明らかに、コウガの動きが変わった。逆に、エスパーダを追い詰めていく。


「この踊るような動きは、コーデリア?」

 エスパーダを身にまとっているイクスの方も、なにかに勘付いたらしい。


「あなたがどうして、コーデリアの動きをトレースできましたの?」



「それは、私がコーデリアだから」



 イクスの手が止まった。


 ここは勝機と、コデロがフィニッシュを相手のノドへと。


『やめろ、コーデリア!』

 すんでのところで、コデロは動きを止めた。あと数ミリで、エスパーダは絶命していただろう。


『キミもいいかげんにしろ、イクス。今は、ボクたちが争っている場合じゃない』


 それにしても、今の声は?


「兄、上?」

『そうだよ、コーデリア。ボクだ。ノーマンだよ』

「ウソでは、ないのですね?」

『ああ。ボクは正真正銘、ノーマン・ドランスフォードだ。こんな姿になってしまったけど』


 コデロが、武器を手から落とす。

「そんな。兄上が、戦乙女のベルトに転生を?」


『詳しい事情は、次の機会で。いずれまた会える』


「ご兄妹のお話は、これにてご勘弁を。家に帰らなければ」

 エスパーダが、口笛を吹く。


 どこからともなく、黒い馬が現れる。


「今は顔見世、ということで。レプレスタに御用があると聞きましたわ。では、詳しくは現地で」

 さっそうと、エスパーダは黒い馬に飛び乗った。コデロに背を向けて、馬で走り去る。


「待ちなさい!」

 コデロが呼び止めたが、エスパーダは振り返らなかった。 



『こうなったら、嫌でもレプレスタに行かなければならなくなった』

「ベルト様、私は行きます。兄の事情を聞かなければ」

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