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特撮ヲタ、姫騎士のヒーローベルトに転生!  作者: 椎名 富比路
第六章 「試練を乗り越え、さらに強くなるぞ」「はい。まだ終わりではありません」

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ナタリア 死の真相

「我は考えを改めた。コウガが我を認めぬなら、我の方がコウガを越えると!」



『それで、デヴィランに加担したのだな?』


「いかにも!」


 肉体をデヴィランの神に捧げ、自ら望んで改造手術を受けたという。


「だが、改造にはデメリットがあった」



 ただ忠実なる下部となるなら、永遠に近い命を得る。

 その代わり、人間より弱くなるのだ。

 強さを得るには反比例して、肉体の崩壊を招く。


 つまり、強くはなるが短命となってしまうらしい。


 それを乗り越え、王子は不死の肉体と強力なパワーを同時に入手したというのだ。


「もはや我は、コウガを越えた! 我はフェンリル! この星を統べる魔王なり! 犠牲は大きかったがな」


 嫌な想像が、頭をよぎる。




「まさか、あなたが」

 コデロにも、分かったらしい。




「そうだ。我が、ナタリア第一王女を殺した」





 客人だったナタリアは、王子が怪人の姿となってメイドを食べている姿を目撃した。証拠隠滅のため、王子はナタリア殺害したという。


「私はナタリアを殺害した後、魔物に殺された、と偽装したのだ。厳密には、配下に殺させた。仮死状態になって」


 葬儀の後、自ら這い上がり、デヴィランの長として活動を始めた。


「では、あなたは自殺だというのですね?」

「そうだ。あのまま生きていては、デヴィランとして活動するには不自由する。死んで自由の身になる方が便利だった」

「どうしてナタリアを!」


「彼女は、我がデヴィランのリーダーだと知ってしまったからだ! 変化するところも見られてしまったのだからな」


 だが、自分だけ生き残っていると、どうしても怪しまれる。

 実際、第二王子の勘は鋭かった。


「なぜそこまでする必要が?」


「食いしん坊の第二王子は、鼻が利くからな。ヤツは気弱なバカだが、それゆえに強かで自衛能力も高い。最初から我を信用していなかった。忌々しい弟め!」

 もはや、肉親にすら悪態をつくほどだ。


「ナタリアには、愛はなかったのですか?」

「愛してたさ! だがあの時は、殺すことこそ愛だった!」


「なんですって……」

 コデロは、怒りに拳を握りしめた。


 どこまで身勝手な男なのか。


 自分の野望を実現させるためなら、肉親だろうが婚約者だろうが手に掛ける。



 もはや、同情の余地などない。

 彼のような人間は、生かしておくわけには。



「うわああああああ!」

 コウガの身体が、さらに輝きを増した。

 まだもうひと段階、変身できるというのか? それほどの凄まじさが。


『これは、レイジングフォームだ!』

 だが、様子が変だ。先程の劣勢はどこへいったのか、コウガは怪人を圧倒する。どういうことなのか。


「なんだこのパワーは!?」


 最初こそ優勢だったオオカミ怪人の方を、コデロは徐々に追い詰めていった。


「貴様は、殺します! 絶対に!」

 怒りに任せて、コデロは拳を怪人に打つ。


 コデロの戦い振りを見て、リュートはひとつの可能性を見出す。


 レイジングは、ライジングの下位互換ではないのでは。


 コデロがレイジングを使いこなせれば、より強いコウガへと進化できる。

 強い怒りを否定しては、コデロの力は発揮できない。それは認めざるを得なかった。冷静になれという方が無理なのだろう。


 とはいえ、リュートはコデロに対し、恐怖しか感じない。怪人に勝てるイメージが沸かないのだ。彼の脳裏によぎるのは、自滅の二文字である。


「許しません。ヴァージル、貴様を!」

 大地を蹴って、レイジングキックを浴びせた。


『いかん、コデロ!』

 危機を感じ、コデロに呼びかける。しかし、コデロの怒りを止めることはできない。リュートですら。


「そんな攻撃など!」

 両腕をクロスさせて、オオカミ上位怪人は防御する。




 ガードを突き抜け、コウガの蹴りは怪人にトドメを刺す、はずだった。




『なにぃ!』

 突然、エネルギー切れを起こす。




「ムダだ!」


 オオカミ怪人が腕を広げると同時に、コウガの技は弾かれてしまう。


 床に墜落し、コウガは変身も解除された。


『ライジングフォームですら、通じないとは!』


「時代が違うのだ。我々がどれだけの年月を掛けて、コウガの対策を練っていたか!」


 今やコウガは研究し尽くされ、最強ではなくなっているのか。



「はあああっ!」

 オオカミ上位怪人が、手のひらに擬似太陽を形成した。



「見よ。これが、コウガを超えた魔王の力よ!」

 疑似太陽を、コウガに向けて放つ。


 コウガは、受け止めるだけで全身を焼かれそうになった。


「なんという力だ! ぬわああああ!」

 踏ん張りがきかず、コウガは吹き飛ばされる。

 

 爆発が生じ、辺りに爆炎が広がる。


 煙が晴れると、妙に辺りが明るく感じた。


 砦の天井、どころか砦自体が爆発し、巨大な穴が開いている。


 周辺には、ドレイや冒険者のみならず、戦闘員たちの死体まであった。

 味方まで、殺すのか。


「とどめだ、コウ……アガ!?」


 最後の一撃を放とうとした怪人が苦しみだす。黄金の輝きは消え去り、元のオオカミ怪人へ戻った。

 さらに、ヴァージル王子の姿に。


「な、なぜ! まだパワー不足だというのか! タイムリミットごときに、我が足止めされるとは!」


 どうやら、強化には制限時間があるらしい。


「やはり、月の宝玉がなければ、持続せぬというのか?」


 月の石……ラキアスが持っていたあの石は、やはり重要なアイテムらしい。


「むっ!」


 ベルトに収まっている、月の石が光りだす。


「イスリーブ領主婦人ラキアスが持っているはず。貴様が何故持っている!?」

『ご婦人の危機を察知し、オレが預かったのだ』


「おのれ……!」

 苦々しい顔になり、剣を抜こうとした。しかし、王子は膝をつく。彼も、限界なのだ。


 


「今日は退く。だが、貴様の月の石を貰い受ける! 必ず!」

 引き下がった王子が、姿を消す。




『待て!』

 変身ポーズを取るも、姿が変わらない。


 コウガはもう、変身する体力すら失っていた。

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