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特撮ヲタ、姫騎士のヒーローベルトに転生!  作者: 椎名 富比路
第六章 「試練を乗り越え、さらに強くなるぞ」「はい。まだ終わりではありません」

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ラキアスの助力

「最高級の素材を、三流のドワーフが製造をしたらしい。しかも、短時間でと来た。こんなにも雑な仕事、ドワーフ界隈でも見たことがないよ」


 おおかた、名を売ろうとしたドワーフが調子に乗って、安請け合いしたんだろう。だが、あまりに手に負えなくなったのではないか、とノアは語る。



「で、形だけ小綺麗にしましたとさ、ってトコロだな。上等な素材が泣いているよ」


 素材の力だけで、怪人と渡り合える力があった。

 なのに、ドワーフの技術が追いついていなかったらしい。


「製造元は、鍛冶ギルド:スマート・イレブンですよ? 当時最高の技術を持っていました」



「三流中の三流ギルドじゃないか」



 即座に、ノアから反論が返ってきた。


「ドワーフ族ならみんな知っているよ。過去の栄光にしがみついている、老害鍛冶ギルドだって。よくあんな素人集団に、貴重で大事な素材を任せたよね?」



「そんなにひどいのですか?」

「ミスリルでノコギリを作った様なもんさ。まったくもって非効率。宝の持ち腐れにも程がある。豚に真珠とは、彼らのために作られた言葉だよ」


「わかりやすいたとえですね」


 あまり、評判の良いギルドではないらしい。


「あいつも俺と同じでな、同名のギルドを追い出されたんだ」


「逆恨みも上乗せされているようですね」


「だが、ノアの言葉は真実だと思っていい」と、ダニーは言う。



「用途をまるで理解していない。こんなの、昔のやり方をそのままマネただけだ。体裁を取り繕っただけで、この金属が持つポテンシャルを、自分の理解できるレベルまで引き下げてある。これじゃ、そこの包丁のほうがよっぽどよく切れるよ」


 ミレーヌの厨房にある包丁を、ノアは指差した。

 実に、辛辣な言葉だ。


「信頼できるギルドなんて、他にいませんでした」


「だろうね。一流のドワーフをかき集めても、この素材は扱いきれないさ。なんせ、古代の部品を使っているから」


 話を聞いているだけでも、貴重なアイテムだと分かった。


「でも、吾輩に任せてくれたら、この素材が持つポテンシャルをフルに活用できる。保証するよ」


「お願いします」


 ノアは、金槌や金属バサミなどをカバンから取り出す。


「荷物は没収されたわけじゃないんですね」

「ギルドに道具を預けておいて、よかったよ」


 しかし、とノアはため息をつく。

「道具はある。だが、ラボはここから遠くてね。受け渡しに時間がかかる」


「だったら、ウチの地下室を使えば?」

 ミレーヌは、何の迷いもなく告げた。


「いいのか? 吾輩は得体のしれぬドワーフだぞ?」


「盗まれるのが、心配なのよね? だったら、あたしが見張りをすれば安心でしょ。ずっと缶詰にしておいてあげるわ。ちょっと手狭だけど」


 ノアは「助かる」と告げて、ダニーに地下へ案内してもらう。


「確かに、研究所としては小さいね。だが、贅沢も言っていられないか。怪しまれているよりずっといい。その頼み受けよう」

「そいつはいい。足りないものがあれば、俺がサポートする」

「助かるよ」


 そこで、リュートも提案をする。

『余っているパーツなどは、ノアに任せてもいいか?』


「いいよ」

 コデロだけに問いかけたつもりだったのに、なぜかノアが応じた。



「ところでさ」


 ノアは、コデロの腹部に目をやる。


「吾輩がベルトに霊が宿っていると、気づかないとでも?」

 ニッ、とノアが不敵に微笑む。


『知っていたのか』


「見くびるなよ、精霊。吾輩も一応、冒険者だ。鍛冶職メインだが、戦闘職はバトルメイジなんだよ?」


 そう言って、ノアは金属製ハンマーを、ふわりと中に浮かべてみせた。


「当時の戦闘には、参加していたんだからね」


『恐れ入る。オレは織部(オリベ) 琉斗(リュート)

 名乗るのは、久々な気がする。


「オリベ・リュートか。でも、キミは仲間からは『ベルト様』って言われているね?」


『不本意だが、コデロがそう呼んでいるから仕方ない』


「ではベルト殿、キミの強さの秘密も知りたい。キミを知れば、この剣の扱いも把握できるだろう」


 コデロが、剣をノアに渡そうとすると、扉がまた開く。 


「お話は聞かせていただきました!」

 また来客だった。今度はラキアスとアテムである。


「おお、ラキアスか。何の用だ?」


「とぼけてもムダです。おおかた、コデロさんと手を組んで、コウガという仮面勇者の秘密を探ろうというのでしょう?」


 腰に手を当てながら、ラキアスは断言した。


「そのとおりだ。仮面の勇者をサポートするのだよ」

「では、わたくしも支援致します」

「なんだって?」

「夫は特定の冒険者をひいきできない、難しい立場の身。ですが、わたくしには何一つしがらみはございません。コウガ殿をせめて陰ながらご支援いたしたく」


 うれしい提案だが、受けていいのだろうか。


「嫌とおっしゃっても、すでに隣の空き家を購入いたしました。どうぞ、研究所としてご利用なさいまし」


 隣の家に向かうと、使用人たちが一心不乱に部屋を片付けていた。あっという間に、掃除まで完了する。


「いかがです、ノア?」

「申し分ないよ。さすが行動力の鬼と呼ばれるラキアスだね。ありがたく使わせてもらうよ」


 ノアは、研究所となる隣家の間取りを見て、ため息をついた。


「これだけ広ければ、どれだけの研究ができるか」

「必要なものがあれば、なんでもおっしゃいな。エルフの秘宝さえ、ご用意いたしますわ」


 ラキアスが両手を広げる。


「ノームのダニー様、ドワーフのノア、そしてエルフのこのわたくし。まるでかつての魔導御三家ですわ」


 かつてコウガを開発した一団だという。


「では、わたくしたちは装備の開発を行うとしましょう。ダニー様、地下施設の美品は運ばせますが、よろしくて」

「助かるね。じゃあ頼むよ」

「お安い御用ですわ」


 ラキアスが使用人に指示を出し、ダニーの保存していた資料などを隣家に運ぶ。


「では、吉報をお待ち下さいな、コデロ様」

 ごきげんよう、とラキアスがカーテシーでコデロを見送る。

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