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特撮ヲタ、姫騎士のヒーローベルトに転生!  作者: 椎名 富比路
第五章 「敵も強くなってきました」「それはこちらもパワーアップするフラグだ!」

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不滅の闘志

「とどめですわ!」

 王笏による突きが、コウガの腹部を直撃した。


「ぐはああっ!」

 大ダメージを受けて、コウガは地面に激突する。


 だが、ダメージはコウガの装甲だけではない。それを覆うコデロにまで行き渡っていた。


『なに、コウガの装甲を突き抜けただと!?』

「これが、魔族の力というのですか」



 致命傷を負い、コデロは起き上がれない。アバラも腕も、骨折している。


「哀れですわね殿下、もう一度死ぬなんて! でもご安心を。ワタクシがおいしく食べて差し上げますわ!」


 イノシシが、化物じみた高笑いを上げた。

「忌々しいドランスフォードの王女さま。あなたにはさぞ、輝かしい将来が待っていたのでしょう。地べたに這いつくばるあなたを見るのは実に愉快、愉快ですわ!」


『お前とコーデリアとの間に、何があったのだ!』


 上位怪人の言葉は、コーデリアを侮辱している。


「ワタクシだって、それなりの貴族でしたわ。魔法の成績もトップだった。でも、コーデリア様はワタクシ以上の実力を持っていました!」


 コーデリアは魔法学校においても、上位の成績をキープしていたらしい。


 それだけでなく、コーデリアは人格者だった。


 伯爵夫人は、ライバルに嫌がらせをして蹴落としていたのだ。


 が、コーデリアが彼女たちを励まし、鼓舞していたという。



「そのせいで、ワタクシは彼女たちにまで追い抜かれ、結局最終成績は中の下! ろくな嫁ぎ先がなくなりましたのよ!」



『嫉妬か。コーデリアに対する妬みが、お前をそんなに醜くしたんだな?』


「醜いですって? 昆虫を模した甲冑に言われ得る筋合いはございませんコトよ!」


 イノシシ上位怪人は、そのでっぷりした脂肪まみれの足で、コウガを踏み潰そうとする。


「あなた方の方こそ、この高貴なる魔物の姿を美しいと思えないなんて、目がどうかなさいましてよ! 今度はハエにでも生まれ変わらせて差し上げますわ!」


『まだだ!』


 最後の力を振り絞って、コデロは立ち上がる。だが、すぐによろめいた。足が折れている。


「そんな身体で、何ができると言いますの?」


『オレはまだ戦える! この命尽きるまで、オレは人々を守るんだ!』


「こざかしいセリフを!」


 上位怪人が、王笏を振り回した。雷雲を呼びだし、電撃を放つ。


『ぐおおおおお!』


 リュートも、コデロ同様ダメージを受ける。ここまで凄まじい攻撃は、初めてだ。


「黒焦げになっておしまい!」



『死んでたまるかぁ!』

 両手で雷をガードし、上位怪人へと弾き飛ばす。


 反射した雷撃が、上位イノシシ怪人の顔面に直撃した。

 肉が焦げる悪臭が充満する。


「やりましたか?」


『まだだ』

 リュートは、手応えを感じなかった。


「ぐおっ! 生意気なぁ!」


 片目を潰され、顔を押さえながら怪人は悶絶する。


 それが、最後の抵抗だった。コウガの変身が、解けてしまう。変身に使うエネルギーは、尽きてしまった。



 だが、諦めない。最後まで戦うと決めた。魔王という存在も判明した今、ここで死ねば誰がこの世界を救うのか。


 自分が死ねば、コデロも死ぬのだ。


 弱き者の盾となれるのは、自分しか、コウガしかいない。


『オレは、負けん!』

 死力を振り絞り、リュートは自身の全力を、コウガの宝玉へ注ぎ込む。


 月明かりが差し込んできた。光が当たるように、リュートはベルトを月へ向ける。


『コウガの宝玉よ、オレの命をやる! この世界を守る力を与えてくれ!』


 月光を浴びながら、リュートは願う。ベルトは応えてくれないかも知れない。それでも。


「最後の仕上げと参りましょう。こんがり焼いて差し上げますわ!」


 これまでとは比較にならない程の雷撃が、コウガの頭上に迫った。


 だが、不思議と受け止める自信が湧いてくる。

 負ける気がしなかった。ベルトが、反応しているのである。

 だが、賭けだった。再度、変身の構えを。


 自分は死んでもいい。せめてコデロだけでも無事で。


 次の瞬間、コウガを守るかのように、三対の斧が電撃を食い止めた。斧のブーメランが、持ち主のところへ帰って行く。


「待たせたな、コデロ!」

 戻ってきた斧を、アテムが掴む。


「随分と苦戦しているようだが、無事かコウガ!」

 ダニーも、けん制で女王怪人に銃を撃ち込んだ。


『アテム! 感謝する!』

「手こずってるな、あたしも混ぜろよ!」

 それは助かるが、コウガは首を振る。


『いや、コイツはオレがやる! あんたは助けた人々を守ってくれ』

「よしきた!」


 リュートは、コウガの宝玉に集めた魔力を、コデロに注ぎ込む。コデロの治療のためだ。折れたアバラや腕、足を、瞬時につなぎ合わせる。


「どうして!?」


『キミが死んだら、どうにもならん。常に万全でいるんだ。この場は、オレが引き受ける!』


「そんなことをすれば、あなたが消滅する可能性だって」


『構わん! キミが生きていてくれたら、オレの存在など消えてしまってもいい。キミは、世界の希望なんだ! 生きてくれ!』


 改めて、リュートはコデロと同化し、変身ポーズを取った。

 今こそ……今ならば可能かも知れない。


 そのとき、月の石に変化が現れた。


 リュートは、耐え難い疲労感に襲われる。本当に、自分を失ってしまうような。


 しかし、コウガが強化されていく気配は感じる。

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