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特撮ヲタ、姫騎士のヒーローベルトに転生!  作者: 椎名 富比路
第五章 「敵も強くなってきました」「それはこちらもパワーアップするフラグだ!」

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イスリーブ商業区の領主

 今日は、領主と会う約束の日だ。


 執事に招かれ、コデロたちは商業区の責任者、ヘインズリー侯爵の元へ。

 領主にしては若い男性が、こちらに微笑んだ。


「イスリーブ事業団の責任者、ドレイク・ヘインズリーだ。話は聞いている。ラキアスを助けてくれたそうで」


 ドレイクと名乗る男は、服装は貴族風だが、親しみやすさが滲み出ていた。整えているのか、顔にヒゲはない。


「とんでもありません」

 膝を突きながら、コデロは首を振る。


「楽にしてくれ。茶を用意する」

 ソファのある応接室に通された。


 メイドが、ティーパーティのセットを載せたトレーを持ってくる。


「ラキアス様、ここにいらしては!」



「よいのです。ようこそ皆さま」

 メイドの脇を抜け、ラキアスが現れた。真紅のドレスに身を包んだラキアスは、コデロたちに見事なカーテシーを見せる。大人も顔負けだ。


「いやいや。こんにちは、お嬢ちゃん。幼稚舎のバスでもお見かけしましたが、カワイイお子様ですな!」


「まったくです。実に立派な方です」



 ダニーに続き、コデロも心からの感想を述べた。




「妻だ」




「はあ?」

 ドレイクに訂正され、真顔でダニーが聞き返す。


「あらら、わたくしラキアス・ヘインズリーは、ドレイクの妻です。よく娘と間違えられますが」



 アテムとドレイク以外の全員が、絶句した。



「マジですか?」

「ええ、マジですわ」


 ダニーの質問に、ラキアスはコクコクとうなずく。


「すまん、説明が必要だった。妻はエルフでな。魔術に長けていて、普通のエルフより若いんだ。小さな見た目もそのせいだよ。おかげでオレは、カワイイ物好き呼ばわりさ」


 娘がいるそうだが、毎回姉妹と間違えられるらしい。


「すぐに分からなかったのですか?」


「エルフを嫁にもらうって聞いていたから、てっきり背の高い美人が来ると思ったんだよ! そしたら、こんなチンチクリンが来るなんて」


 不満そうに、「あらら?」とラキアスが頬に手を当てる。


「では、あなたはチンチクリンのわたくしでは満足できないと? わたくしが声をかけてあげなくては生涯独身だったでしょうに」


「はいはい、満足してますよ! ダンナさんにしてくださってありがとうございましたね!」

 なかばヤケ気味に、ドレイクは返答した。


 ラキアスは魔術師で、現国王をサポートしているらしい。

 主に、治癒魔術を教えているとか。


「国王に、治療の秘術を習得する必要があるのですか?」

「違いますわ。『治癒に見せかけた暗殺を防ぐため』に指導していますの」


 コデロと出会った日も、後進の魔術特訓を行った帰りだったそうな。

 馬に近づいたのは、魔法で治療できないかと思ったからだろう。


「これより危険な話をする。お前は部屋で、娘の魔術練習を見てあげなさい」


「あら、わたくしは怖くありません。お邪魔しませんから、お話しなさって。娘は勝手に上達しますわ」

 ラキアスが、アテムの腰に居座った。


 メイドが持ってきた、茶菓子をいただく。誰も喉を通らない中、勝手知ったるアテムはバリバリとビスケットをむさぼっていた。豪快な食べっぷりを、ラキアスもマネをする。


 二人の愛らしい光景を見て、みんなは食が進むように。


「事業団が管理している店舗の問題だったな。我々も手を尽くしているが、未だに尻尾を掴めん」


「デヴィランの仕業かと」

 コデロが意見をした。


「ああ、何かと世間を騒がせている集団か。オレの管轄しているエリアでも悪さを始めたか。オレは恨まれる筋合いはないぞ」


 一連の闇ギルドが活発な動きを見せているという。その裏には、必ずデヴィランの影があったらしい。


「冒険者を雇って応戦しているが、いかんせん相手が強すぎる。人間じゃないからな」


 人類や亜人種の混成チームで問題に取り組んでいるが、改造人間であるモンスターに太刀打ちできないそうだ。


「未解決の問題を発生させ、領主様の力を疲弊させることが、ヤツらの目的かと」

 自身の推理を、コデロはドレイクに聞かせる。


 ヘインズリー家は、イスリーブ国王の親戚筋だ。領地を任される程の実力者である。誰に狙われてもおかしくはない。


「デヴィランが入り込む要因となったのは?」


「ロデントス伯爵の仕業とみて、間違いないだろうな」

 肩を落としながら、ドレイクは頬杖を突く。  


「この街で起きている一連の事件には、ロデントスが関わっていることは、分かっているんだ」


 だが、敵はなかなかシッポを見せず、今でものうのうと重要ポストに就いている。


「騎士団というのが手強くてな。こちらも私兵はいるが、ヤツらには手も足も出ない」


 その正体はデヴィランの兵隊だ。


「例のナメクジ怪人の証言だけでは、足りませんか?」


 あの怪人は、ロデントスが関与していると白状した。


「証人が死んでしまってはな」


 役所に突き出せれば、まだ打つ手はあったかもしれない。


「モノは相談なんだが、ロデントスを……という訳にはいかないんだろな」


 自分に替わって、ロデントスを討てというのだろう。


「ベルト様」


 事情を察したコデロが、リュートに意見を求めた。自身の意識すら譲ってまで。


 リュートはコデロと意識を交代して、語り出す。


『悪いが、政敵を叩いてくれというなら断る。それは、あなた方自身が解決すべき問題だ』

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