表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
特撮ヲタ、姫騎士のヒーローベルトに転生!  作者: 椎名 富比路
第五章 「敵も強くなってきました」「それはこちらもパワーアップするフラグだ!」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/121

オオカミ怪人

『待て!』


 屋根を伝って、影を追いかける。


 相手の逃げ足は、大したスピードはない。コウガでも余裕で追いつく速度だ。間違いない。人払いをしたいだけか。


 怪人の足が、採掘場で止まる。


『むう、お前は!?』


 その姿は、騎士だった。フーゴの森にあったアジトで見た人物と同一である。騎士団の一人というのは分かる。


『何者だ!』


「誰でも構わん。我はもはや、人ですらない」

 騎士が、兜を脱ぐ。その正体は、若い青年であった。

「デヴィランの理想を理解できぬものに死を与える者とだけ、分かっておればよい」

 月明かりを仰ぎながら、騎士はつぶやく。


『お前もデヴィランの怪人か!』


「怪人? そうか、貴様の世界ではそう呼ぶのだな」




 まるで、地球の事情を知っているかのような口ぶりだが?




「我らは人を超越した、【魔物】! 古の時代、世界を支配していた存在!」



 こちらの世界では、怪人は魔物と認識されているらしい。



「そしてコウガ、我は貴様を超え、更に強くなる!」


 硬い兜を、騎士は両手で握り潰した。

 筋肉が盛り上がり、鎧がはじけ飛ぶ。


 オオカミの怪人の本性を現す。皮膚は灰色で、毛の色は蒼い。針のような体毛が、全身を覆っている。手足には鎧が残っていて、ロボットのような形をしていた。



『お前は!』

 リュートは、その姿に見覚えがある。自宅を襲いに来た怪人だ。



「我が名は【ライカン】! コウガ、貴様に後れは取らん!」

 オオカミ怪人が襲いかかってくる。




 スピンキックを腹に喰らわせ、怪人の猛攻を押さえ込む。




「むお!」

 地面に転がり、オオカミ怪人は体勢を立て直す。だが、たいしたダメージはないようだ。


「さすがコウガなり。見事な反応速度よ!」

 すぐさま、次なる攻撃に移る。拳と蹴りの応酬となった。


 顔へのパンチをスウェーだけでかわし、反撃の機会を窺う。


 だが、相手の攻撃が早すぎて手が出ない。無理な体勢にさせられ、カウンターしようにも威力が出ないのだ。強引に攻撃しようとしても、蹴りが飛んできて食い止められた。


 強い。

 まるでこちらの動きを読み取ろうとしているかのようだ。


「素晴らしい。手に負えんと思っていたコウガにさえ、我は渡り合っている」

 歓喜の混じった声が、オオカミ怪人から漏れた。


 戦闘経験の豊富なコウガでさえ、対応するのがやっとである。立て続けの戦闘に加え、必殺技を出した後で消耗している状態だ。決してコンディションは万全とは言えない。


 それを差し引いても、この怪人は強かった。


「その強さは、デヴィランが与えたのか!」


「デヴィランの目的は、人間の肉体を改造し、古の時代に滅びた魔物を復活させることなり。再び魔が世界を支配するのだ! くらえ!」


 肩部分の体毛をむしり、怪人が投げつけてくる。


 両手に片手剣を呼びだし、体毛ミサイルを弾き飛ばした。


 だが、体毛はなおもコウガの周囲を舞う。再度襲ってきた。


 対応が遅れたコウガは、体さばきで体毛攻撃を避けていく。だが、わずかに腕をかすめた。


 コレまでの怪人とは、強さがまるで違う。


「ギイイ!」

 コウガが怯んだところへ、怪人が飛びかかる。長い爪を振り下ろした。


 ハイキックで、爪攻撃を防ぐ。


 火花が散り、怪人が飛び退いた。


『地球のことを知っているようだな。話してもらおうか?』


「貴様と雑談する舌は持たん!」

 再度、オオカミ怪人は飛びかかろうと足を曲げた。


「ぬぐっ!」

 オオカミ怪人が膝を突く。全身に、電流を帯び始めた。


「やはり、ニワカ仕込みの改造では歯が立たぬか! また会おう!」

 さっきとはまるで越人のような速度で、オオカミ怪人は闇に消えていく。


『手強い相手だ』


「先程の魔物、知り合いですか? そのようなリアクションに見えましたが」


 なぜリュートの家に現れた怪人が、生きていたのか。

 形状は若干違っていた。が、あれは、リュートが倒した怪人に間違いない。 


 だが、あまりにも敵が素早く、リュートは怪人の正体を聞き出すことすらできなかった。

 

 答えてくれるはずもないが。





  

 ざわざわと、周辺に人だかりができてきた。


 路地に隠れ、コウガは変身を解く。


 ナメクジ怪人は、頭だけになっていた。それも段々と、人間の姿に戻っていく。


「失礼! 道を空けてください!」

 野次馬をかき分け、商業ギルドの責任者が。怪人の頭部をたしかめようと、しゃがみ込む。


「おお、この人は!」

 商業ギルマスが、眼鏡を直す。


「どうかしたのですか?」



「この人、最初にお店を買った人ですよ!」




 表向きは敏腕社長、裏では女性ドレイを買ってはひどいことをする、ヘンタイ富豪だったそうだ。

 しかし、店を買って早々に行方不明に。


 周辺住民からは、「天罰が下ったのだ」とウワサになっていたという。


「うええ、もし私がつかまっていたら、どうなっていたのかしら?」

 身震いしながら、ミレーヌが身を縮ませる。


「もしかすると、最初から住み着くつもりで買ったのかもな。得物をおびき寄せるために」


 だが、生きていると怪しまれる。

 そこで、死んだことにして身を隠したと。


「不気味だな。こんなヤツの申し出さえ聞き入れるのだな、デヴィランは」


 前に倒したペンギン怪人も、子どもをかどわかす目的があった。


「欲にまみれた人間を、デヴィランは怪人にしてしまうのだろう」


 富豪や実力者に、デヴィランの手が伸びているとなると、油断ならない。


 死体は役所に任せ、全員で商業ギルドへ。長年空き家だった店舗の事情を聞く。


「ありがとうございます! おかげで助かりました!」


 十分すぎるほどの報酬を受け取った。

 

 その金額に、ミレーヌは困惑している。


「屋敷の責任者は?」


「商業エリア領主の、ヘインズリー侯爵です」

 ギルド長が言うと、「ああ」とアテムが手を叩く。


「ラキアス様の領地だったのか」


「その、ラキアスってのは誰だ?」

 アテムに、ダニーが問いかける。


「先日お会いした、お嬢さんだよ。馬を埋めて帰ろうと言ってきただろ?」


「あのお嬢ちゃんかっ!」

 ようやく、ダニーも思い出せたようだ。


「今度会わせてやろうか?」

「そんな簡単に、会えるのですか?」


「だってアタシは、ラキアス様の護衛も務めてるもん」


 複数の冒険者によって、交代で護衛を担当しているらしい。


「ちょうど、あたしは明日の護衛担当なんだ。ついてきてみるかい?」

「お願いします」



「よしきた。話を通しておいてやるよ。領主のお嬢様を助けたんだ。悪いようにはしないさ」

 陽気に笑いながら、アテムはウインクした。



「ヘインズリー様を疑っているわけではないのです! ただ、こうも連続して失踪事件とあっては、さすがに見過ごせず」

 ギルド長は、そう強調する。



「旗色は悪い、ということですね」



「ホントに疑ってはいないのです。領主様ですからね。死力を尽くされているのも分かっているのですが、成果が出ず」


 事態は深刻なようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ