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特撮ヲタ、姫騎士のヒーローベルトに転生!  作者: 椎名 富比路
第五章 「敵も強くなってきました」「それはこちらもパワーアップするフラグだ!」

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もっと力があれば……

「さて、怖い話はそこまでにして、お茶にしましょう」

 ミレーヌの淹れてくれたコーヒーを囲んで、アテムの話を聞く。


「貴族様の子どもたちが遠足するってんで、護衛について行ったらこのザマだ。また勝てなかった。アタシにもっと力があればな」


 自身のふがいなさに、アテムが悔しがっている。


「怪人相手なら、仕方ありません。彼らは恐ろしい肉体改造の手術を受けています」


「改造? 手術を受けたら、アタシも強くなれるのかい?」


 アテムの問いかけに、コデロは首を振った。


「そうやって手に入れた力は、何もかも壊すだけ。自分の心すら破壊します」

「アンタも、その力を手に入れたのか?」

「私は違います。その強大な魔を払うために、力を得ました」



 自分に起きた事情を、コデロはかいつまんで説明した。

 コデロが王女ということは伏せて。

 リュートが見知らぬ土地から来たことは話した。



「重大なことを、背負っているんだな。だから強かったのか」


 アテムも納得してくれたようだ。


「だが、武器に関しては協力できるかも知れないぜ」


「本当か、ダニーッ!」

 思わぬダニーの言葉に、アテムは目を輝かせた。


「おやっさん、アテはあるんですか?」

「ああ。お前だ」


 ダニーが、コデロを指さす。


「武器を開発したとき、余剰パーツがたくさん出ただろ?」


 言われてみれば、使わない武器がたくさん出てきた。


 コウガ自体の力が強いため、腕力を必要とする武器は軒並みリストラしたのである。

 

 とはいえ売ることもできず、倉庫を温めている状態だ。


 パワー系武器の玩具が売れ残る原因が、今になってなんとなく分かる。


「そいつをネコソギ、アテムに引き取ってもらったらどうだ?」

「できるのか?」

「もちろんだ。その代わり、もうコウガの武装としては扱われない。スマートタグのアイテムボックスには入るから、問題ないけどな」


 アテムの武装として、今後は活躍してもらうことにした。


 試しに、両手持ちのバトルアックスを出す。

 刃が半月状になっていて、柄の上下が繋がっていた。

 コデロですら、両手で持って精一杯の重量がある。


「これがアンタの武器かい?」

 重すぎる斧を、アテムは片手で持ち上げた。


「すごいな、さすが鬼族だ」

 唖然としながらも、ダニーは感心している。


「なんの、すごいのはこの武器さ。なんだこりゃ。手裏剣にもなるぜ」

 狭い店内で、アテムは斧を振り回し始めた。


「おいおい、うちで剥き出しの武器を素振りしないでおくれよ!」

「おっといけね!」


 アテムは、斧を床に置いた。床のシミになっている部分だ。




「ぐえ」という声がした気がするが。



「おやっさん」


 ダニーに意見を聞こうとしたが、「しーっ」とダニーは口に指を当てた。


「他人に武装を譲渡しても、構わないのですか?」


「OKだ。自分で使いこなせないなら、人手に渡したっていいだろう」


 今後、このような事態は続く気がする。


「じゃあ、さっそく素振りしてくるぜ」

 喜び勇んで、アテムが外へ飛び出す。


「それがいい。我々も行こうじゃないか。ミレーヌ、ついてこい」


「えー」と言いかけたミレーヌの口を、ダニーは塞ぐ。


「軽めの弁当を持って、外へ出かけようか。みんな支度しなさい」


 ダニーがアイコンタクトを取ると、ミレーヌもうんうんとうなずいた。


「私もトレーニングが楽しみです」

 ミレーヌと並んで、コデロも特訓へ向かった。


『また友だちが増えたな、コデロ』


「そう、ですね」

 少し照れくさそうに、コデロはつぶやく。

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