馬車襲撃と遭遇
もうすぐイスリーブに到着という地点である。
リュートは相変わらず、特撮ソングをベルトから流していた。
「三日三晩聴かされたとあって、飽きてしまいました」
『そうか? 今やっと昭和世代の特撮ソングが終わったところだぞ。まだ平成時代の曲が、三〇年分楽しめる』
「熱血系の歌に溺れ死にそうです」
『まあまあ……む?』
リュートが、異変に気づく。
眼前で、大型の馬車がデヴィランの戦闘員に襲われていた。
子どもたちの叫び声が、荷台から聞こえてくる。
「あれは、幼稚舎の馬車だ! お貴族様の子どもたちが乗っているぞ」
ダニーが、双眼鏡を覗き込んだ。
数名の冒険者が、馬に乗ったデヴィランの戦闘員と戦っている。
逃げる馬車の大型荷台に、人影が乗っていた。怪人だ。
「子どもたちが襲われています!」
『急ぐぞ!』
馬車には、一〇代前半ほどの子どもたちが乗っている。泣き声や悲鳴が痛々しい。
『やはり秘密結社といえば、幼稚園のバス襲撃だな!』
「幼稚舎の馬車ですが?」
コデロのツッコミを無視して、戦闘態勢に。
世間の情勢もあり、幼稚園のバスジャックなんてシチュエーションは、最近では減ってしまった。が、いまだにこの作戦は有効らしい。
子をさらって、貴族を意のままに操る腹づもりだろう。
リュートのいた世界なら即座に潰されるが、ココは異世界だ。
『待て! 貴様ら、許さん!』
リュートが叫び、戦闘員の注意をこちらに引きつける。
ダニーが荷台から顔を出した。
「コデロ、自動運転に切り替えた。バイクに乗ったままでも戦えるぞ!」
「はい。やってみます!」
バイクに乗ったまま、コデロは変身のポーズを取る。息を吐きながら、左手で腹回りを撫でた。変身ベルトが現出したのを確認し、右手を挙げる。
「変身!」
コウガへと変わったコデロが、戦闘員たちをバイクに乗ったまま蹴り上げた。
戦闘員の一人が落馬する。
バイクから降りたコウガは、戦闘員たちを蹴散らしていく。馬車へは誰も近づけさせない。
落馬した戦闘員を、冒険者たちが攻撃した。
「コウガ、その調子だ! 俺も手伝うぜ!」
自身の馬車から、ダニーも戦闘員たちを狙い撃つ。
戦闘員を馬から突き落とす役を、コウガは買って出る。
後始末は、冒険者たちに委ねた。
しかし、一筋のカマイタチによって、戦況は一変する。
「ぐぎゃあああ!」
冒険者の一人が、背中から切られた。大量に出血し、絶命する。
カマイタチは、幼稚舎の屋根の上から放たれた。
「役に立たないヤツらだわねぇ!」
馬車の上から、人影が降りてくる。




