科学は人を、豊かにするか?
夜が来て、手頃な場所でキャンプに。
獲ったウサギ肉のカレーをいただく。
「思っているより大変です」
肩をほぐしながら、コデロはつぶやいた。
「そのうち、馬やバイクがなくても動く車も開発予定だ。より移動が楽になる」
『開発には、オレも協力しよう』
コデロだけに苦労をかけさせまいと、ダニーは少しずつ荷台を改造して、移動しやすくしている。
リュートもベルトから物資を与え、ダニーに渡していた。
そのおかげで、荷台は出発当初の面影はない。ちょっとしたキャンピングカーである。ミレーヌも、荷台の中で調理したほどだ。魔改造とは、こういうことを言うのだろう。
「フフン。最高である俺の科学力に、ついてこられるのか?」
酒を飲みながら、ダニーが軽口を叩く。
『少なくても、オレの国では車が普通に走っていた』
「なるほど。詳しく聞かせてくれ」
リュートは、日本の事情を聞かせた。
発達した科学は、人を便利にしたと。
しかし、犯罪も生み出してしまうと意見を添えて。
「科学は、人を幸せにするか?」
『人を豊かにした。それでも、行き過ぎた科学は、多くの人を殺した』
世界最初の文明である「火」を見つめながら、ダニーはため息をつく。
「我々の仕事は、人類には過ぎた代物なのか? 神への冒涜に過ぎないのか?」
沈んだ顔になるダニーに、リュートは『違う』と返す。
『人が科学を大切に使えば、科学の方だって応えてくれる。要するに、使う人次第なんだ』
だからこそ、科学で人を傷つけるデヴィランを許せない。
同じ科学者だから、デヴィランは悪だと断言できる。
だが、コウガだって同じだ。装着者の感情次第で、殺戮兵器にすらなり得る。
『もっともオレは、コデロを信じているから、そんな事態など想像すらしていないけどな』
「信頼しているんだな、コデロを」
『ああ。だからロデントスを討とうと決心した。コデロのためにも、デヴィランはすべて殲滅する』
「そうだな。サポートは任せろ」
『ああ、頼む』
まあまあ、と、ミレーヌが二人の肩を抱いた。
「科学が人を幸せにするかなんて、分からないわ。でも、歌は確実に人を幸せにするわ」
教えたわけでもないのに、ミレーヌは地球の曲を歌い始める。
『どこでその歌を習った?』
「覚えちゃった!」
たき火にしゃがみ込んで、ミレーヌは歌う。
心地よい歌声に揺られ、コデロは船をこぎ始めた。満腹感も手伝って、耐えられそうにない。
「今は寝ましょう。夢の中だけは、嫌なことは忘れなさいな」
「そうさせていただきます」
最初の見張りはダニーに任せ、コデロは腹を休ませるために眠りにつく。




