ミレーヌと入浴
コデロとミレーヌは、二人揃ってシャワーで身体を洗った。
狭い浴槽に、二人して浸かる。女子二人だから、多少はマシか。
「ねえベルトちゃん、美少女二人がハダカなんだから、もうちょっとリアクションすれば?」
肩に湯を掛けながら、ミレーヌが、からかい半分でリュートに声をかける。
『そんな感情はない』
リュートは、きっぱりと言い切った。
『オレは、ヒロインの水着回でも倍速で見るからな。オレが関心あるのは、バトルシーンとストーリーだけだ』
「ちょっと何言っているのか分からないわ」
ミレーヌが呆れている。
「そりゃあ、あたしはコデロよりオッパイ小さいから、見てもうれしくないでしょうけど」
『そこまで言っていないぞ!?』
リュートは抗議した。
確かに、ミレーヌは平坦と言えるが。
『悪い。思わずムキになって、本気で持論を展開してしまった。性欲なんて、最初からないんだ。こんな身体だからな』
「別に、照れ隠しってワケではないのね?」
『そうなんだ』
これまで三〇年間、リュートは男女交際なんて一切したことがない。
コデロとこうして話していること自体が、奇跡と言えた。
ベルトという第二の命を手に入れて、リュートはようやく人とまともに接することができるようになったのだ。
「すいません、こういう人なんです。ベルト様って」
苦笑いしながら、コデロがリュートにフォローを入れる。
「でも、笑えるうちは大丈夫よ」
「私、笑っていましたか?」
「うん。あなた、笑うとかわいいわね」
ミレーヌに指摘され、コデロは赤面した。
「あんな風に、お父さんは脅かしているけどさ、コデロはベルトなんかに負けやしないわ」
「分かっています」
「それにさ、お父さんはコデロのこと、信頼しているから」
浴槽に頬杖を突きながら、ミレーヌは微笑む。
「そうなのですか?」
「お父さんさ、気に入った人にしか、コーヒーを淹れないの。だから認めてくれているのよ」
二人は風呂から上がった。
仕込みを始めるというミレーヌを残し、コデロは寝室へ。
ベッドで横になったコデロに、リュートは語りかける。
『キミは、何のタメに戦う?』
「私は、復讐のため」
まだ、憎しみの心は消えていないようだ。
『オレでは、キミを癒やせない。キミの心を和らげてくれるのは、キミだけだ』
このままだと、コデロは自分が戦闘マシンになることだって厭わないだろう。
人間の心まで捨ててしまっては、ヒーローではない。
ヒーローの力は誰かのためにあるべきだ。
だが、どうすればコデロに伝わるのか。
答えは、まだ見つけられない。
ならば。
『イスリーブへ向かうぞ』
「ベルト様? 今なんて」
『君の気持ちが晴れるまで付き合おう。ロデントス伯爵が仇なら、好き放題暴れてやればいい』
どのみち、デヴィランの悪行は止めなければ。本拠地へ赴いて、打倒することの悪くない。
「準備不足だと言ったのは、あなたです」
『装備面に問題があると思ったからだ。ダニーがサポートしてくれるのなら、めったに苦戦を知られることもないだろう』
自分一人で戦っているわけではない。今は仲間がいる。




