フーゴのギルドマスター
戻ってきて早々、ダニーがギルドの受付に呼びかける。
「マスターを呼んでくれ。見せたいモノがある」
数分後、ギルドマスターが姿を現し、ダニーと握手を交わす。
「よう! ダニー博士」
現れたのは、あごひげの特徴的なオーガ族の戦士である。
「マスター。久しぶりだな。ヒドラ退治以来か」
ダニーの口ぶりからして、このオーガがギルドマスターのようだ。
白髪が目立つが、筋肉まで衰えている印象はない。ダニーとは古い付き合いのようだ。まだ現役でも戦えそうである。
「コデロとか言ったな。魔物を倒してくれて、礼をいう。ヤツらには手を焼いていた。あいつらのせいで、どれだけのミッションが失敗に終わったか」
ギルドマスターから、感謝を述べられた。
『そんなに危ないヤツらだったのか』
リュートの存在を、ギルドマスターに知られるわけにはいかない。コデロにだけ伝わるように耳打ちする。
「いまいち、自分の強さが分かりませんでした」
一撃で倒していたから、強いのかどうか実感が湧かない。
ダニーが呆れたような顔になる。
「あのな、コデロ。普通あんな化物は、五人以上のパーティを組んで撃退するもんだ。それをお前さんは一人で、ほぼ素手でブチのめしたんだぜ」
冒険者と自分には、そこまで開きがあるらしい。
「なるほど、オーガやドワーフでも敵わなそうだ」
ガハハ、とギルドマスターは笑う。
「コイツを見てくれ」
ダニーがギルドのマスターに、手に入れた資料を見せた。
「ここはヤツらの魔物製造工場のようだ。人間ベースに魔物を作って、テストしているのだろう」
ギルドマスターは、ダニーの報告を険しい顔で聞いている。
「この一帯で、魔物の存在は確認されていなかったのですね?」
「現れだしたのは、本当にこの間だ。つい最近だな」
今までは、悪党が現れても盗賊程度だったらしい。
それも騎士団に撃退され、静かになったばかりだった。
フーゴは、油断していたところを狙われたのである。
リュートは、頭の中だけでコデロに話をした。
「ギルドマスター、【デヴィラン】という組織を知りませんか?」
代わりに、コデロが質問する。
「人間を超えることが目的の、秘密結社らしいぜ。魔物になることで神に近づくんだとか、なんとか言っていたぜ」
他にも、彼らの資金が一部貴族から出ていること、【魔物】という怪人を作っていることなどが明らかになった。
マスターも、詳しくは知らないらしい。
「ですが、工場を指揮していたのは、騎士団のリーダー格でした」
「なんだと?」
ギルマスの目の色が変わった。
「やけに妙な動きをしやがると思ったら。あいつら、ロデントス伯爵の配下だったのか」
ギルドマスターが、自慢のあごひげを撫でる。
「こちらも警戒しておく。ありがとよ」
報酬を受け取り、コデロたちはギルド長と別れた。




