レプレスタ城内(4) 大蛇怪人【ナーガ】 VS ランドグリーズ
「こしゃくな!」
大蛇怪人の一体と、アテムは戦闘になった。
アテムの斧と、怪人の槍が、激しくぶつかり合う。
「死ねい、偽物おおおお!」
スキを狙い、別の個体がアテムに背後から襲いかかる。
「はあ!」
正面の怪人を、アテムは前蹴りで押しのけた。勢いのまま、後ろにいる大蛇怪人に斧で切りかかる。
「っちいい⁉」
傷こそ浅かったものの、怪人は不意打ちをためらう。
大蛇怪人の背後で、エスパーダは鎖骨へ蹴り込んだ。
「不意打ちとは、こうするのですわ」
「おのれえ、戦乙女の戦い方ではないィ!」
後頭部を殴打された怪人が、絶叫しながら爆発する。
「いける! もうコウガの勇姿を見ているだけの、あたいじゃない!」
パワーもスピードも、申し分ない。互角以上に、アテムは戦えていた。
「とどめだよ!」
斧に刻まれた魔法文字を、アテムは手でなぞった。
魔法文字が、黄色く光りだす。斧を支える部分が分裂し、持ち手が横へ移動した。斧はH状に広がり、脚が収まる形へ。
アテムは斧の切っ先を、地面へと置く。自分の膝下に、分離した斧をジョイントさせた。
「アックス・サマーソルトキック!」
自分自身の脚部を斧と同化させ、怪人にサマーソルトを食らわせる。
「バカな。ただの人類が作りし戦乙女に、魔神の下僕が遅れを取るとは……デヴィランの神よぉ!」
下から上に両断された大蛇怪人が、転倒直後に爆砕した。
「やりましたわ! ランドグリーズは、怪人相手でも十分通用しますわね!」
姉ラキアスが、ジャンプしながらアテムの戦いぶりを絶賛している。
ラキアスの横には、イスリーブ王子とディアナが。
「お姉様!」
泣きながらこちらに走ってくるディアナを、イクスは抱きとめた。
「おお、ディアナ、ご無事でしたか」
「はい。アテム様が守ってくださいました」
王子より先に、ディアナを気にかける。
この時点で、王子に愛情がないのは明白だ。
当然である。
王子は他人で、ディアナは家族なのだから。
しかし、
「王子、ディアナを守ってくださって、ありがとうごさいます」
心から、イクスは王子に感謝した。
「余は、何もしておらぬ。震えていただけだ」
「ディアナのそばにいてくださいましたわ」
それでいい。
「かばってくださっただけでも、妹と一緒に震えてくださっただけでも、あなたはヒーローですわ。ワタクシにとっても、妹にとっても」
イクスは王子に、アイコンタクトをした。
「どういうことだ、イクス?」
事情を知らない国王が、首をかしげる。
「後ほど、お話いたします。ですわよね、王子?」
王子はすぐに、イクスの言葉を察した。
「ああ。ちゃんと余から話す」
それにしても、アテムのヨロイはすごいパワーだ。
「これは、ラキアスお姉様の考案で?」
「はい。名付けて【盾を壊すもの】。レプレスタの技術を集めて開発いたしました」
戦乙女コウガが現れていこう、ずっとラキアスは戦乙女を作ろうと考えていたらしい。
コウガの戦闘データをノアに分析してもらい、ダニーと共同で開発したという。度重なるアテムとコウガの手合わせは、全てこのためだった。
「まだ実験段階ですので、油断はできません。なので、防御面に重点を置きました。が、アテムの身体能力との相性はバッチリのようですわね!」
興奮しながら、ラキアスが説明してくれる。
アテムの戦闘力が、「防御一辺倒のアーマーで押しつぶす」強引なスタイルを確立させたようだ。
「お見事でしたわ。お姉様、アテムさん」
「へへん」
照れながら、アテムが武装を解除した瞬間、
「我々は、まだ死んではおらぬ! レプレスタ王、覚悟!」
まだもう一体の怪人が、レプレスタ王の首を狙う。最初にアテムによって昏倒させられた一体だ。
「お父様!」
むき身の刀を構え、エスパーダが王をかばった。
「ムダなことを。親子揃って、串刺しにしてくれる!」
「いいえ。あなたはもう、終わりですわ」
エスパーダは、刀を鞘に収める。
「のわああああああ!」
刹那、怪人の右半身が左半身と分離した。
エスパーダが王の前に立った時点で、怪人は両断されていたのである。
「なにか言い残すことは?」
ピクピクと体を震わせる怪人に、エスパーダが剣を突き立てた。
「へっ、狙いはコウガだ。我らはただの時間稼ぎ」
虫の息になりつつも、大蛇怪人は不敵に笑う。
「なんですって?」
「今に見てろ。我らが主アロガントの女王、メデューサと、アタシと同じメデューサの娘たちが、必ずコウガの息の根を止める!」
まだ、マムシ怪人の他に、メデューサの手のものがいるようだ。
「デヴィラン、バンザイィィ!」
笑い顔のまま、怪人は爆死した。
コデロが危ない。
「急いでコーデ……コデロの救援に! コデロが大ピンチですわ!」
このままでは危険だ。今すぐ合流せねば。
『その心配はない』
危機的状況だと言うのに、ノーマンは平然としていた。
「どうして⁉ 今にもコウガは彼らに」
『大丈夫。ちゃんと準備はしているさ』
確信めいた発言を、ノーマンは口にする。
『それにしても、気になるのは怪人の発言だ。骸教授とは、一体……?』




