表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/33

②⑦家族の形 と 約束



そして、私は無事に昇進した。


それまでの一週間は引継ぎのせいで、だいぶ遅く帰ったりしていたけど、初日ほど子ねずみちゃんが不機嫌になったりはしなかった。


確かに子供ではあるけれど、聞き分けが良いほうだと思う。




「子ねずみちゃん」



「何?」



「今日から私、役職変わるから、もしかしたらもっと遅くなるかも」



「ふーん。今度は何になるの?」



「マネージャー」



「マネージャーって…、葉子ちゃん、ドリンク配ったり、タオル洗ったりするの?」



「へ?…、ぷ、あはは。部活のマネージャーとは別物だよ、ふふっ…」



「え、そうなの?」



「そうだよ。日本語で言うと、部長かな」



「部長…、葉子ちゃんが?」



「そうだけど?」



「部長って、もっとおじさんがするものだと思ってた」



「そうね、比較的におじさんが多いかも。でもまあ、人手も不足してるから、選びようがないのよ」



「そっか…、大変だね」



「まあ、決まった時はバリバリやるぞ、って思ってたんだけどね。今は子ねずみちゃんがいるし、なるべく早くは帰りたいんだよね」



「あたしのため?」



「帰りが遅いとヘソ曲げるじゃん」



「曲げてないし」



「不機嫌になるじゃん」



「なってない」



「そういうところだってば」



「だって、1人が寂しいから転々としてるのに、1人にするんだもん」



「1人になりたくないなら、家に帰ればいいじゃない」



「その家にいると、孤独を感じるんだもん」



「そうなの?」



「ちょっと複雑なんですぅ。事実、警察が捜しに来たりしてないでしょ?そういうことなの」



「確かに、変だわ」




家族の数だけ、家族の形があると思うけれど、彼女の家は相当特殊なのかもしれない。

ごく平凡で、オーソドックスな家族を持つ私には、想像もつかないけれど。




「あ!そういえば、おばあちゃん家、今週の土曜はいける?」



「あー、うん。今週はちゃんと仕事終わらせるから」



「絶対だからね?」



「分かったって。平日、ちょっと遅くなるかもしれないけど…」



「なんで?」



「土曜日空けるには、平日に詰め込まなくちゃいけないし」



「えー…、誰かに押し付けられないの?」



「押し付けるって…、社会人としてダメだし、部長の仕事なんて、そうそう頼めるものじゃないわ」



「不公平だよ」



「そういう世の中なんですー」



「くそだね、くそ」



「口が悪い」



「ふん」



先週の土曜日に急遽仕事が入って、田舎で花火をする約束がキャンセルになった。

ちなみに、このときの子ねずみちゃんの機嫌を直すのに、まるまる日曜日を費やした。



これもまあ、私が悪い。

しかも、ちょっと約束のこと忘れてたし…



自分に彼氏ができない理由、ちゃんとあったなと気づかされた。




それ以上に、子供との約束を破る罪悪感は、なかなか来るものがある。

二度と、味わいたくない。


今週こそは、約束を守ろう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ