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②①腐れ縁は運命の人ではない



「わーい、花火だー!」



「そんなに大きい花火、今年の夏じゃやりきれないと思うんだけど」



「大丈夫。来年も再来年もあるから」



「湿気るでしょ…」



「え、そうなの!?」




「…、お馬鹿」




子ねずみの腕には、大きいバケツのような入れ物に入った花火が抱えられている。

5,000円もした。


これなら、ホールケーキのほうが何倍もマシだ。



そもそも、どこで花火をするつもりなんだろう。




「この辺で、花火ができるような場所、ないよ?」



「ええー!?これだから都会は…」



「どうするの、それ。返品するなら今のうちだよ?」



「ううん。大丈夫。ちょっとアテがあるんだ」



「あなたみたいな放浪者にアテなんてあるの?」



「田舎のおばあちゃん家。夏はけっこう涼しいの」



「へぇ…、いってらっしゃい。っていうか、そこで永住でいいんじゃない?」



「何言ってるの?シオリちゃんも行くんだよ?それに、永住したら、どんなに頑張ってもお母さんに捕まっちゃうし」



「行かないわよ。なんなら、お母さんに捕まって家帰ったほうが幸せじゃない?」



「絶対帰らない。ねえ、行こうよ~!あのね、奥のほうにはパワースポットの滝があるんだよ?」



「滝…」



避暑地、滝、田舎…

ちょっと心惹かれるものがある…


でも、そんな静かなところにわざわざ行くなら、圧倒的に1人がいい。



「ね?行こうよ~」



「はいはい、そのうちね」



「湿気っちゃうよー」



「知らないわよ」



「シオリちゃんだって、5千円も無駄にしたくないでしょ?」



「あなたがそれ言う?」



「いーこーうーよーー」



「もう、分かったって。今度の休みのときね」



「それっていつ?」



「さあ?来週の土日とか?」



「えー!?5日も働くの?」



「当たり前でしょ。学校だってあるじゃん」



「ううん。私は毎日、土日だから」



「学校には行きなさい」



「やだよ。お母さんに捕まるもん」



「あなたがそこまで逃げる理由って…」




「あれ!?葉子?」


子ねずみちゃんを問いただそうとしたとき、今は聞きたくない声が聞こえた。


「あ、ひ、久しぶり…」



「おう、久しぶり。この子、誰?妹?いや、お前、妹いないよな?」



「え、えっと」



「ヨーコお姉ちゃんの従姉妹の…、シノです」



「へぇ、ぜんぜん似てないな」



「あ、うん、私、お母さん似だけど、この子、父方の従姉妹だから」



「そうなんだ。あ、俺も紹介しようと思ってて…、あれ?どこ行ったかな?」



まずい。

このままじゃ、子ねずみちゃんに私がこいつの婚約者の名前を名乗っていることがバレる…




「あ、えっと、ごめん。紹介は結婚式のときでいいよ?」



「えー?でも、一緒に来てるし、せっかくだから…、あ!いたいた!シオリー!こっち来いよー!」




遠くからでも分かる、華奢でふわっとした可愛らしい女性。

あれが、詩織ちゃん。


ああ、バレちゃった。

なんて惨めなんだろう…



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