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⑭泣いた子ネズミ




ゴドン


という鈍い音がして、PCから顔を上げる。

あれから、どのくらい経ったのか、部屋の中は薄暗く、モニターだけが青白く光っていた。



なんか落ちたのかな?



恐る恐る電気を点けると、ソファで転寝していたであろうドブネズミちゃんが、床に滑り落ちていた。


こんなところで寝て…

しかも、落ちたら普通、目を覚ますでしょ。


どんだけ眠り深いんだよ、全く。



滑り落ちた彼女をソファに引っ張りあげる。


ぞっとするほど、彼女は軽かった。




なんだか可哀想になって、私はクローゼットから薄い布団を取り出して掛けてあげた。


暗いな、と思ったらもう18時か。

あまりお腹は空いていないけれど、何か作り始めたほうが良いかもしれない。




油淋鶏に中華スープが出来上がった。

でも、なんか野菜が足りないんだよなぁ…


トマトでカプレーゼでも作ろうかな…

統一感ないけどしょうがない。



そうして、トマトを切っていると、後ろから抱き着かれた。



「わっ!?ちょっと、包丁使ってるんだから、あぶな…」



「グスッ…」



「…」



ドブネズミちゃんは泣いているらしい。

彼女なりに今まで辛いことがあったのだろう。


とはいえ、こんな風に他人から泣き付かれたことないから、どう対応していいのか分からない。



ひとまず、包丁を置いた。



彼女の弱弱しい細腕を外すことなんて容易いけれど、それ以前に、ボロボロと崩れ落ちそう。


どのくらいそうしていただろうか、彼女の鼻をすする音も落ち着いてきた。



「子ネズミちゃん、トマト、カピカピになっちゃうんだけど」



「ふふっ…」



「あと、この服、高かったんだから、鼻水つけたら許さないわ」



「えっ、うそ!?」



ガバッと顔を上げた子ネズミちゃんは、少しだけ目元が赤かったけど、いつもの子ネズミちゃんだった。



「嘘。ユニク○」



「も~!本気で焦ったじゃん!」



「かたつむりの仕返しだってば」



「ははは、シオリちゃん、優しいね」



「そんなことないわ。仕返しはきっちりするしね」



「優しいよ。こんな子供にちゃんと向き合って、付き合ってくれるんだから」



「そう?なら、そういうことにしておく。ほら、もうこれも出来るから、テープルに並べて」



「はーい」




たぶん、私は優しくない。

人に嫌われないように、空気を読む事に必死なだけ。


自分が悪く思われないようにしているだけで、それは、その人を思っての行動じゃない。



だからこそ、アイツやこの子から貰う「優しい」は、死ぬほど胸が痛くなる。




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