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⑬ドブネズミ改め、子ねずみ



「焼きそば、家で食べるの初めてかも」



「そうなの?」



「うん。屋台でしか食べたことない。鉄板じゃなくても作れるんだね」



「まあね。こうして自分で作ってみると原価がわかって面白いよ」



「原価?」



「そう。材料がこのくらいかかるって分かるから、屋台の人がどのくらい利益を取ってるか分かるでしょ?」



「ふーん。じゃあ、私が焼きそば屋さんをするときは、シオリちゃんに相談するね」



「え?あなた、焼きそば屋とか経営する気なの?」



「わかんない」



「はあ?」



「まあ、将来、自分が何するかなんて、大抵の人は分からないでしょ。もしかしたら、シオリちゃんが焼きそば焼いてるかもしれないし」



「将来のことは確かに分からないけど…、私、飲食は向いてないと思うわ」



「そうかなあ?この焼きそば、美味しいけどなぁ」



「焼きそばなんて、誰が作っても同じものでしょ。それに、店を開くなら、資格とか許可書とかめんどくさいのよ」



「そっかぁ…、大変なんだね~。うーん、じゃあ、何しようかなぁ」




「じゃあ、私、仕事するから」



「ええ!?今日、土曜日だよぉ?」



「知ってるわよ。でも、やらなきゃいけないから」



「私なんて、土曜日に学校行くのが嫌で部活入ってないもん」



「部活ねぇ…、やって損はないと思うけど?」



「そうかなぁ…、時間がもったいなくない?」



「馬鹿ね。時間の無駄使いなんて、学生の特権じゃない。大したことない事に全力を注げるのが子供でしょ?」



「えー…、そうなのかなぁ」



「そうよ。私の歳になるまであと15年あるんだから、思う存分時間を使えばいいわ」



「そっか。シオリちゃんに言われるとそんな気がしてきた!部活、入ろうかな」



「いいんじゃない?嫌だったら辞めればいいし」



「え?」



「え?私、なんか変なこと言った?」



「嫌なら辞めていいなんて言う大人初めて」



「そう?」



「1回始めたら最後までやれ、責任を持て、って先生とかは言うでしょ?」



「そりゃ、ちょっとした挫折で辞めるのは勿体無いと思うけれど、学校行くのも嫌なくらい嫌になったら辞めるしかないじゃない」



「そっか」



「私のオススメは、地区予選で負ける部活かな」



「志が低いなぁ…」



「だって私、スポーツも芸術も苦手だし。勉強1本でやってきたから」



「ははは、そんな気がする。私はね、結構スポーツ得意だよ」



「子ねずみみたいにすばしっこそうだもんね」



「こねずみ…、どうやったってあたしはネズミなんだね」



「ぴったりだわ」



「ひどいー」




ネズミと言われたことを根に持っているドブネズミちゃんを尻目に、私は朝に中断していた仕事に取り掛かる。

この土日、どれだけ進められるかに懸かっている。



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