ぼくのおはなし
ぼくは1日しかしりません。
1日にあったことだけおぼえていることができます。
なぜしゃべれて、もじをかけるかというと
なん日か、なん10日か、100日かまえのぼくが
【①ぼくのあたまにいじょうがあった】
【②いじょうがあるまえまでのちからしかない】
とつくえにきえないもじでかいてあるから。
ぼくはきょう、はじめておおきなおはなしをつくりました。
ねるまえに、きょうおもったことをかきます。
ぼくは、1日しかおぼえていれない。
だからぼくはがっこうにいっていません。
ともだちもいません。
ぼくは、いつの日かわからない日に、ままと「おはなしをかく」やくそくしました。
ぼくのへやのどあには、かみに「おはなしをかく」とかいてあります。
まい日あさにおきたときに、きずきます。
つくえには【⑦どあのかみはままとのやくそく】とかいてあるから、ぼくはまいにち、ままとのやくそくをおもいだします。
ぼくのつくえのうしろには、ほんだながあります。
そこにぼくがかいたおはなしがたくさんあります。
それはぼくの「じ」だからわかります。
ぼくはわすれるけど「じ」はわかる。
おはなしはわすれているから、へんなかんじがする。
おもしろいはなしもあるし、おもしろくないはなしもある。えをかいている日もある。
えがへたすぎてなにをかいているかわからないとき、その日のぼくにはあえないからとてもかなしくなる。
いつもぼくなのにかなしくなる。
つくえのるーるにかこうとおもうんだけど
【⑤たのしくかく】があるから、あのえはたのしくかいたんだとおもう。
ぼくは、まいにちあたらしい日なので、おはなしをかくときに、きのうやそのまえの日のぼくがかいたおはなしをよんでから、つづきをかいています。
このおおきなおはなしをつくるまいにちは、まいにちたいへんだったとおもう。
、や。がさいしょのころのぼくは、つかえていなかったからです。
まいにちよんでからかくから、おはなしのはじまりのかみはくしゃくしゃになっています。
でもだんだんとよみやすくなっていきました。
ぼくのつくえのいちばんあたらしいるーるには
【⑪きおくのちからはせいちょうしない。おはなしをつくるちからはせいちょうはしている。みむらせんせいより】とかいてある。
だからきょうのぼくは、ぱぱに、きょうかんせいさせたおおきなおはなしを、ままいがいにもよませたくなりました。
そこでぱぱが、このおはなしをつくったときにぼくのおもったことをさいごにかいたら、ぼくとままだけのおはなしじゃなくなって、おはなしはとりさんのようにとんでいくんだよ。
といいました。だからぼくはわすれないうちにるーる【⑫おはなしのさいごに、ぼくのきもちをかく。あとがき。】とつくえにかきました。
ぼくは、おおきなおはなしをかいて、あまりすごいこととはおもいませんでした。
とてもわくわくしてたのしくて、これをかいたきのうやそのまえのぼくはすごいとはおもいました。
ぼくはまいにちまいにちかいて、きょうかきおわることにきめました。
ぼくのみぎてのつめやてにえんぴつのあとをのこしてねます。
あしたのぼくにきょうのぼくもかいたんだよっておしえるためにてをあらいません。
でもあしたは、ぱぱといっしょに、るーる⑥のままにおはなしをきかせにいきます。
ながいおはなしだから、あしたもしかしたらおはなしかかないかもしれない。
ずっとずっとあとの日に、ぼくはどんなおはなしをかくのかな。
人生初短編での全体的なスキルの無さを設定で補いました。
個人的に渾身の出来だったのですが、物語が短すぎて単調過ぎるかも知れません。
当時見て感銘を受けた映画「メメント」から影響を受けています。
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唯一「思い出す」というワードが出てくる。
男の子の前向性健忘症発覚後、進行する前のギリギリで母親と約束した生き残った記憶
なんだか懐かしい、あたたかい、ホッとするような、母親との思い出
学校,友達という言葉から、小学生に上がる前、または小学生低学年での出来事。
「おはなしをかく」というドアに貼り付けられた紙
最も古いルール0
ルール⑪
在宅診療時に先生が残したメッセージ
記憶に関する脳機能はやられても脳の別の部位は生きて成長をしている。
エールを送るルール。
「転」
お話を作り上げると母親に聞かせる。
ルール⑥
母親に会いに
母親にお話を聞かせに
父親と母親が眠る墓地へ行く。
毎日忘れる男の子は
毎日1日のはじまりに母親を思い出す
母親が亡くなった記憶は永遠に閉ざされた
男の子は純粋で悲しまず
母親を思い続ける
母親がこの世に唯一残したモノが
永遠の愛
けれど男の子にはそれを見ることも感じることもできない
ルールが設けられ
ルール⑥(ルール⑦)が作られた時期、背景により母親の心情は客観視すると陽にも陰にもなりうる。
そしてソコからの脱却
男の子と母親の限定的な世界が
外に向かれる事になる
nextstage
男の子は未来の小説家に
気が遠くなるような追憶の果てに
見いだす確かな文学の才
不確かな毎日に
人生でたった一人(一つ)のキーパーソンでも
進み続ける事の強さ
進み続けた事の凄さ
その先、何処にたどり着くかわからない不確実さ
を子どもの視点から届けれたらな。
と思い作りました。