三つ目の条件
「三つ目、僕は変装します。」
これが一番重要なんだよね。決闘の場に僕が出しゃばるのも
可笑しな話だし、変な噂が立っても困る。内申書にも響いたら、
致命的だ。それより、森 星明にこいつらの仲間って思われるのが
嫌だ。それだけは、避けてほしい。
「変装、何だ、そんなことか。それなら、うちらに任せておけ。」
「姉さん、楽しみになってきましたね。」
「今から、決闘に備えて特訓しますか。」
「ヨッシャ~、行くぞ。」
図書館を出て行こうとする三人組に、僕は慌てて声をかける。
「場所と時間、聞いてないんですけど。」
「すまん、すまん。言ってなかったな。明日の夜、八時。
学校の裏にある荒れたお寺、えっと何だったけ。」
「姉さん、極楽寺ですよ。」
「そう、そう、それ。時間厳守、いや変装させてやるから30分前に
来い。わかったか。」
「はい、はい、わかりました。」
もう、便所が火事だ、やけくそだ。
「それじゃあ、明日。楽しみにしているぜ。」
やっと、デビルドラゴンが去って行った。
台風一過、図書館に静寂が訪れる。
「いけねえ、もうこんな時間か。塾の時間に遅れている。」
僕は、慌てて塾に向かった。
しかし、この時、僕たちは、図書館に生徒は一人もいなかったが、
一人息を潜め見ている者がいることは、知らなかったんだな。