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僕は 君たちの玩具じゃない   作者: 三ツ星真言
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イブの待ち合わせ、そしてディナー

 待ち合わせ場所は、「新宿テラスシティイルミネーション 」。

 小田急グループプロデュースのイルミネーションで、冬の

風物詩なんだよね。

 今年は、花をテーマにしたイルミネーションが新宿駅西口から

南口一帯をやわらかな光で彩っている。

 今年は「FAIRY OF FLOWERS(花の妖精)」をモチーフにした

特徴的なギミックが新宿テラスシティの各所に登場している。

 昼間と夜、どちらも楽しめる装飾となっていることは、すでに

下見済みだ。冬休み、何回来たことか。

 タッチセンサーで光の演出を楽しめるオブジェ「スマイルタワー」も

登場するなど、デートにピッタリのイルミネーションとなっている。

 今日ばかりは、いくら庶民の生活が珍しいと喜ぶキラちゃんでも、

特別だ。ロマンティックな気分を高めたい聖夜のデートなんだから。

 待ち合わせ時間の午後6時の20分前に着いた。すでに、恋人と

待ち合わせをしている若者やデートしているカップルが目についた。

 約束の時間の10分前にキラちゃんが、やって来た。

 やわらかなホワイトとラベンダーのチェックでフェミニン度を

強調したアウターがを颯爽と着こなすところは流石だ。

 インナーは白で統一し、タートルニットにフレアスカートか。

 あれ、いつもより背が高く見えるのは、黒いパンプスを

履いているからか。

「どうしたの、ねえ、変かな。」

「いいや、今日は一段とキレイだね。」

「まあ、有難う。嬉しい。」

 僕の恋愛偏差値は、キラちゃんの御蔭で順調に数値があがっている。

 好きな女の子とただ腕を組んで歩くことが、こんなにも楽しことを

学んだ。他にも、色々とね。

 さて、僕たちが向かったお店はフレンチでもイタリアンでも

高級お寿司屋さんでもなかった。ラーメン屋さんなんだよね。

 仕方ないじゃないか。キラちゃんのリクエストなんだから。

 僕は色々ネットで調べ、この冬休み、食べ歩いたんだけど、やっと

クリスマスのデートにもピッタリのお洒落なお店を見つけた。

 数年前に、ルミネ1にオープンした、女性に人気のラーメン店。

 店内は女性1人でも入りやすく、僕が下見に訪れた時は8割が

女性で、ビックリしたよ。一番人気は柚子塩らーめん。

 丸鶏と魚介、香味野菜の旨みが凝縮した黄金色の淡麗スープは、

非常に慈悲深く、柚子の香りが爽やかな一杯だ。

 麺は全粒粉入りの細麺なのでカロリーも控えめだから、ファッション

雑誌のモデルもやっているキラちゃんにぴったりだ。 

 スープは鶏油が少ない「淡麗」と多い「まろ味」の2種が選べるもんね。

 イブでもやっぱり混んでいたが、待ち時間が長くても苦にならない。

 話すこと、聞きたいこと、山ほどある。二人の話題は尽きない。

 やっと、席があき、二人並んでカウンター席に着く。

 キラちゃんは柚子塩ラーメンの「淡麗」、僕は「まろ味」を注文した。

 暫くして、柚子ラーメンが僕たちの前に現れた。

 キラちゃんは、只でさえ人目を惹く美少女、女性客の何人かは

あれ、見たことあるなってガン見している。

 そんな中、キラちゃんは黒くて艶やかな長い髪の毛をササッと

後ろに輪ゴムのゴツイやつで縛り、ラーメンに喰らい付く。

 こりゃあ、ご両親が僕とのお付き合いを反対するわけだ。

「美味しい~。」

 でもさ、粉雪が舞う寒空に、桜の花が咲いたようにキラちゃんが笑う。

 僕にだけ見せる、僕だけの笑顔なんだけど、店内のみんなは自分のことを

褒められたように嬉しくなり、喜んでしまう。

 店員のお兄さんたちが、ガッツポーズをとったり、ハイタッチしているから、

超面白い。

 僕だけの星のビーナスなんだけど、いつもながら、キラちゃんは周りの人を

明るくする星なんだなって、感心するよ。

「毎度あり。またのお越しを一同お待ちしております。」と、

会計を済ませた後、満面の笑みを浮かべた店員さんに見送られて、

外に出た。

「さて、次、どこへ行こうか。」

「そうね。」

 キラちゃんが、僕の耳元で囁いた場所には、ビックリした。

「へえ~、そんな場所があるんだね。いいよ、行こう。」

 その場所に二人で向かっていたが、僕たちも武術家の端くれ。

 今にも襲い掛からんばかりの殺気を放っている尾行者の存在に

気が付いていた。 

 


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